プライム・ストラテジーは2023年7月27日、CMS/Webシステム実行環境「KUSANAGI」に、WordPressを高速化する「テーマアクセラレーター」機能を追加したと発表した。WordPressが動的に生成したWebページのうち、キャッシュ可能な要素を自動でキャッシュして再利用することで表示を高速化する。
プライム・ストラテジーの「KUSANAGI」は、Webシステムのバックエンド処理(PHPなどの言語からデータベースにアクセスし、Webページを動的に生成する処理)を高速に動作させる実行環境である。高速化の手段として言語やデータベースのキャッシュ技術を用いる。Webシステムを構成するLinux OS/ミドルウェア一式を仮想マシンイメージやDockerコンテナイメージで提供する(関連記事:Webシステム実行環境「KUSANAGI」でHTTP/3が利用可能に、nginxとTLSライブラリを更新)。
KUSANAGIの代表的な用途に、WebサイトのCMS(コンテンツ管理システム)である「WordPress」の高速化がある。今回、WordPressに特化した部分キャッシュによる高速化機能「テーマアクセラレーター」を追加した。WordPressが動的に生成したWebページのうち、キャッシュ可能な要素を自動でキャッシュして再利用することで表示を高速化する(画面1)。
画面1:「テーマアクセラレーター」機能を有効化する画面(出典:プライム・ストラテジー)拡大画像表示
プライム・ストラテジーは、新機能を提供する背景として、WordPressのバージョンアップにより、Webページの設計が容易になったことと、それによる影響を挙げている。現行のWordPressではノーコード/ローコード開発による画面設計が浸透し、これまでテンプレートとして管理してきたヘッダー、フッター、サイドバーなどのパーツを、ブロックを組み立てる方法で設計できるようになっている。
同社によると、Webページの設計が容易になった半面、このようにして設計したWebページの表示が遅くなったという。「Webページを生成する際、それぞれのブロックごとにディスクI/Oやデータベースアクセスなどの生成処理が走り、これらを組み合わせたWebページ全体の表示が遅くなった。WordPress 6.1では、WordPress 5.8と比較して50%遅いことがわかった」(同社)。
テーマアクセラレーターは、これをブロックごとの部分キャッシュによって改善する。アクセスごとに内容が変わる要素はキャッシュせず、どのような場合でも内容が変わらない要素についてはキャッシュを再利用する。これにより、動的コンテンツも高速に表示する。
従来、こうした部分キャッシュを利用するためには、Webページ画面のカスタマイズ開発(PHPのコーディング)が必要だった。テーマアクセラレーターではWebページの設計者が意識する必要なく、キャッシュできる部分を自動的にキャッシュする。KUSANAGIの管理画面でテーマアクセラレーターを有効化するだけで使え、キャッシュの削除もボタン1つで可能である。
プライム・ストラテジー / KUSANAGI / CMS / WordPress
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