プライム・ストラテジーは2023年6月27日、Webシステム実行環境「KUSANAGI」で、UDPベースの高速通信プロトコルであるHTTP/3(QUIC)を使えるようにしたと発表した。KUSANAGIの構成要素の1つであるWebサーバーのnginxを、HTTP/3を標準で有効にできるバージョンへとアップデートした。周辺ライブラリの整備や設定などを施し、動作検証済みの環境として提供する。KUSANAGIはキャッシュ技術などを用いてWebシステムのバックエンドを高速化するチューニングを施した実行環境だが、今回のHTTP/3対応により、Webデータ転送のレスポンスやスループットも高速化した。
プライム・ストラテジーの「KUSANAGI」は、Webシステムのバックエンドシステムを高速に動作させることを目的とした実行環境である。Webシステムを構成するLinux OS/ミドルウェア一式を、仮想マシンイメージやDockerコンテナイメージで提供する(関連記事:CMS実行環境「KUSANAGI」に障害やセキュリティリスクの分析機能、改善のアドバイスを表示)。
今回、Webサーバーとの通信プロトコルとして、UDPベースの高速通信プロトコルであるHTTP/3(QUIC)を使えるようにした。KUSANAGIの構成要素の1つであるWeb(HTTP)サーバーのnginxを、HTTP/3を標準で有効にできるバージョン(バージョン1.25)へとアップデートした。これに合わせて、SSL/TLSライブラリであるOpenSSLもHTTP/3対応版のライブラリへと差し替えた。環境の整備や設定を施し、動作検証済みの環境として提供する。
KUSANAGIはWebシステムのバックエンド処理(PHPなどの言語からデータベースにアクセスし、Webページを動的に生成する処理)を高速化する設定を施した実行環境だが、今回のHTTP/3対応により、Webデータ転送のレスポンスやスループットも高速化した形である。HTTP/3は、Webブラウザ(ChromeやFirefoxなど)にはすでに実装済み。Webサーバーについては、Googleなどのサイトで利用できるようになっているほか、今回nginxが標準で実装した。
なお、KUSANAGIはもともと、主に言語やデータベースなどのキャッシュ技術を用いて高速化を図っている。同社によると、一般的なクラウド環境において、ページキャッシュ利用時の1秒あたりの同時リクエスト数は約2万5000超(HTTP時)、ページキャッシュ非使用時の1秒あたりの同時リクエスト数は約210超(HTTPおよびHTTPS)である。標準的なLAMP環境と比べると、ページキャッシュ使用時では約2330倍、ページキャッシュ非使用時でも約20倍高速である。