DataRobot Japanは2025年7月14日、説明会を開き、AIエージェントの普及を念頭に組織が備えておくべきことや留意点、顧客支援に向けた同社の戦略を説明した。“AIレディ”な組織になるためには、AIエージェントの特性を理解した最適なユースケースの選択や、連携するツールの準備、組織横断的なAI活用に向けた組織文化の醸成が求められるという。
米DataRobot(データロボット)は、さまざまなAIモデルの構築・管理・運用を効率化するプラットフォーム「DataRobot」を開発・提供している。マシンラーニング(機械学習)モデルの自動構築などに特化した専業ベンダーとして2012年に創業し、近年では生成AIを含むAI活用全般を対象としている(関連記事:ML自動化ツール「DataRobot」に新版、位置情報モデルや時系列異常検知、AIの信頼性向上など)。
生成AIの業務活用の焦点は、チャットボットやコパイロット(Copilot)から、自律的な業務プロセス実行を伴うAIエージェントや、エージェント群をオーケストレーションするエージェンティックAI(Agentic AI)に移っている。
DataRobotは、これらをビジネスに十全に生かすためには、テクノロジーの特性を理解し、適切な準備を行う必要があると説く。同社日本法人のDataRobot Japan 副社長でAI&サービス統括部長を務める小川幹雄氏(写真1)が、AIエージェントが普及段階にある今、留意すべきポイントを解説した。

ポイントの1つは、AIエージェントに適した活用領域の見極めだ。小川氏は飲食店の予約を例にとってこう説明した。「だれが予約しても変わらない場合は、AIエージェントに任せることで早く、楽になる。しかし、特別な日の会食のように、体験や過程が大事な場合は、AIエージェントに置き換えるとマイナスの効果を生む可能性もある」。
システム開発でも同様に、AIエージェントの有効性は条件次第となる。従来のシステムでは、複雑な処理ほどロジックの実装に時間がかかるが、結果の再現性は高い。一方で、AIエージェントならば大規模なパーソナライゼーションでも自動化できるが、結果にはバラつきが出てしまう。
処理のパターンが少ないケースや、ルールに則った結果が必要なケースでAIエージェントを使えば、逆効果になる場合も考えられる。こうした特性の違いを考慮して開発する必要がある(図1)。

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AIエージェントの価値に過度に期待しないことも重要だという。小川氏は、従来の予測型AIで駅の利用データから人流を予測し、結果を基に駅員を効率的に配置して雑踏事故を防ぐ例を挙げ、ここに生成AIを適用し、駅員の配置まで自動化したとしても、事故防止という取り組み自体の価値は変わらないとした。「AIエージェントの提供価値はこれまでの技術の延長線上にあると言える」(同氏)。
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