[市場動向]
富士通、業務特化のAIモデルを対話指示で自動生成する「要件学習技術」を2023年内に提供
2023年10月11日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
富士通は2023年10月11日、技術研究に関する説明会を開き、AI、データとセキュリティ、メタバース、データセンター向け省電力プロセッサ、量子コンピュータなどの取り組みを紹介した。新たな研究の1つに、予測や最適化など業務特化のAIモデルを対話型で自動生成する「要件学習技術」がある。同技術を2023年12月末までにAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」に実装して提供する。
富士通は技術研究に関する説明会で、AI、データとセキュリティ、メタバース、データセンター向け省電力プロセッサ、量子コンピュータなどの取り組みを紹介した。
AIモデル開発を対話型AIとのやり取りで可能に
新たな研究の1つに、予測や最適化などのAIモデルを対話型で自動生成する「要件学習技術」がある。2023年12月末までに同社のAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」に実装して提供する(図1)。
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富士通は、Fujitsu AI Platform上で、業種特化型のAIモデルとソフトウェア部品群からなる「AIイノベーションコンポーネント」を提供している。2023年9月末時点で、製造業向けの不良品検出や小売向けの購買行動分析など、10種類以上のAIモデル/部品群を公開済みである。
要件学習技術を製造業の生産スケジューリングの最適化問題に適用したところ、これまで約1カ月を要していたAIモデルの作成作業を1日に短縮できることを確認したという。
「これまで、要件に合致するAIイノベーションコンポーネントが存在しない場合、AIエンジニアがユーザーから課題を聞き取り、これをAIが解釈可能な数学表現へと時間をかけて人手で変換して学習させる必要があった。これらの作業に1カ月を要していた」(富士通)
要件学習技術では、入力した課題の意図をAIが汲み取り、ユーザーの要件を満たす解の集合をグラフ形式に変換する。これにより、ユーザーの課題を専門家が作成する際と同レベルの情報をAIに渡せるようになるという。このグラフデータを学習することで、予測や最適化、異常検知といったユーザーが必要としている各種のAIモデルを生成する。
また、グラフデータ上に過去の学習経緯をナレッジとして保存することで、新しい条件を追加した場合でも、過去に学習した情報を用いて効率的に再学習できるようにしている。顧客要件や環境の変化に応じて、AIモデルを迅速に適応させることが可能になる。
要件学習技術を大規模言語モデル(LLM)と組み合わせることで、試作と性能確認を迅速かつ容易に繰り返せる。「必要な情報を対話型にユーザーに問い合わせることで、現場の暗黙知や、取り込んでいなかった要件などを考慮したAIモデルを作れるようになる」(同社)。
●Next:DC向け省電力CPU「FUJITSU-MONAKA」を2027年に提供予定
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