ガートナージャパンは2023年11月15日、日本におけるデジタルビジネス(「既存事業の変革」または「新事業開発」)の最新状況について発表した。「デジタルビジネスを実現した」と回答した企業の割合は24.0%で、2017年調査時(11.9%)から2倍以上となった。実証実験やアイデア探索、ワークショップなどの取り組みも含めると、日本企業におけるIT部門の過半数がデジタルビジネスを目指して取り組んでいることがうかがえる。
ガートナージャパンが2013年にテクノロジーでビジネスの変革を目指す「デジタルビジネス」を提唱してから10年が経過した。デジタルという言葉は、かつてのコスト削減や改善を中心としたIT化・情報化とは異なり、新たなテクノロジーを用いた既存事業の変革や新事業開発を含んでいると説明している(関連記事:ビッグデータやモバイルなどの潮流がもたらす“デジタルワールド”)。
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デジタルビジネスの提唱から10年が経過したことを受け、ガートナーは2023年4月に、日本企業のデジタルビジネスの取り組み状況を調査した。「デジタルビジネス(「既存事業の変革」または「新事業開発」)を実現した」と回答した企業の割合は24.0%で、2017年調査時の割合(11.9%)から2倍以上になった。ワークショップなどの取り組みも含めると、日本企業におけるIT部門の過半数がデジタルビジネスを目指して取り組んでいることがうかがえる(図1)。
同年8月には別の調査で、日本企業のデジタル化の成否に関して最も大きな影響を及ぼした要因を尋ねている。上位3項目には、「自社の経営判断/投資」(31.1%)、「自社の企業文化」(20.3%)、「自社のイノベーション組織/人材」(19.6%)が挙がった(図2)。
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ガートナーは、既存事業の変革や新事業開発を進めるうえで、企業が根本的に変えねばならない点や解決に向けた考慮点が次第に明らかになってきたとし、こうした既知の点を確実に押さえていくことと実行に移せるかどうかが重要なフェーズに入っていると指摘している。
同社 バイスプレジデント アナリストの鈴木雅喜氏は次のようにコメントしている。「デジタルビジネスの風向きは変わりつつある。すべての企業がテクノロジー企業になり、すべての部門がテクノロジーを使いこなしていくというトレンドが進む。経営者がこれを現実の話として理解し、的確な投資判断を下せるか否か、さらにイノベーションを率いる人材、社内の環境を整えられるかがカギを握っている」。