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レッドハット、コンテナ基盤「OpenShift」のマネージドサービスでユーザーが支払うAWS利用料を削減
2024年1月29日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
レッドハットは2024年1月29日、マネージド型のコンテナ運用基盤「Red Hat OpenShift Service on AWS(ROSA)」の提供形態の拡大を発表した。アプリケーション動作用のコンピュートリソースを除く、コンテナ実行環境の運用に必要な制御プレーン「ROSA with Hosted Control Plane(HCP)」を提供する。同日よりAWS東京リージョンで国内提供を開始した。制御プレーンをユーザー自身のAWSアカウントで用意せずに済み、AWSの利用コストを削減できる。ROSAの最小構成時でシステム運用費が35%減るとしている。
レッドハットの「Red Hat OpenShift Service on AWS(ROSA)」は、コンテナ運用プラットフォームの「OpenShift」をAWS上で動かし、マネージド型で提供するサービスである。ユーザーがOpenShift環境を構築することなく、サービスの契約でただちに利用可能になる。
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今回、ROSAの提供形態を広げ、アプリケーション動作用のコンピュートリソースを除く、コンテナ実行環境の運用に必要な制御プレーン「ROSA with Hosted Control Plane(HCP)」の提供を開始した。制御プレーンをユーザー自身のAWSアカウントで運用せず、レッドハットのAWSアカウントにある環境を利用する仕組み。制御プレーンのためのコンピュートリソースを集約・共有化する(図1)。
ROSAのユーザーメリットは、すべてのソフトウェアをユーザーのAWSアカウントで動かす場合と比べて、システム費用(主にAWS利用料)を下げられること。アプリケーション動作用のコンピュートノードについてはコストはそのままだが、制御プレーン部分のAWS利用料が不要になる。
ROSAの最小構成時(システム全体でコンピュートノードの比率が最も低く、制御プレーンの比率が最も高くなる状態)にコスト削減効果が最大化する。レッドハットによると、すべてのリソースをユーザーのAWSアカウントで運用する場合と比べて35%減り、一般的なケースで年間8000~1万ドルを削減できるという(図2)。
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ユーザーのAWSアカウント環境に全ソフトウェアをデプロイする従来の「ROSA Classic」構成の場合、最小構成時で、制御プレーン3台、ROSA用管理ノード2台、アプリケーション動作用コンピュートノード2台の計7台のAmazon EC2インスタンスを使用する計算になる。HCP構成では、このうち制御プレーンと管理ノードが共有リソースに移動され、ユーザーは2台のEC2インスタンスのみ自身のAWSアカウントで管理することになる。
HCP構成では、コストの削減効果だけでなく、制御プレーン(EC2インスタンスの起動時間を含む)をユーザー個別に起動する必要がなくなり、アプリケーションの起動時間が15分程度に、システム起動時間が6割短縮短縮されるという。また、制御プレーンをユーザーの管理外に置くため、制御プレーンに誤った変更や削除を行うミスを防げる(図3)。
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HCP構成のトライアル環境「ROSA Hands-on Experience」を、現在は提供中断中だが、2024年2月中に提供を再開する予定である。同環境では、チュートリアルとして用意したモジュールを通して、操作方法、ROSA上のアプリケーションのビルドとデプロイ、オペレーションのタスクなどを体験できる。