ディスカウントスーパーマーケットのオーケー(本社:神奈川県横浜市)は、経営ビジョン「高品質・Everyday Low Price」を実現するため、経営・ビジネスの源泉となるデータマネジメントへの取り組みを強化している。2024年3月8日、日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)、インプレス主催の「データマネジメント2024」のセッションに登壇したオーケー執行役員IT本部本部長の田中覚氏は、DWHのBigQueryへのリプレースやデータベースのダウンサイジング、データ抽出ツールの一元化など、同社が次々と展開したデータマネジメントの施策や工夫点を紹介した。
「マイナス状態だったデータマネジメントの達成度を引き上げる」
神奈川県横浜市に本社を置き、ディスカウントスーパーマーケット「オーケー(OK)」を展開するオーケー。同社は経営ビジョン「高品質・Everyday Low Price」を追求し、競争が激しい中で年10%成長を続けている。
ただし、質の高い商品を安く売るためには、データマネジメントによって低コストで会社を運営する必要がある。オーケーで執行役員IT本部本部長を務める田中覚氏(写真1)は、同社が取り組んだデータマネジメントの工夫を紹介した。
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まずは、データを集めて整理するプロセスを改善した。もともとオーケーは、オンプレミスにデータウェアハウス(DWH)を構築していたが、容量や性能の面で限界が来ていた。保存しているデータを消さないと新しいデータを保存できなかったり、複数の部署から同時にアクセスするとレスポンスが悪化したりしていた。
これを解決するため、Google Cloudの「BigQuery」にリプレース。移行には4カ月ほどかかったという。利用にあたっては、従量課金だとコストがかさむので、リソースの上限を設けて定額で利用している。さらに、パーティショニングやクラスタリングなどの工夫でBigQueryの費用を抑えている。
「これまではデータマネジメントの達成度がマイナスの状態だった。DWHをオンプレミス環境からBigQueryに置き換えたことで、これをゼロの位置にまで引き上げた」と田中氏は振り返る。
DWHの前段に各システムのデータを集約するデータハブを構築
DWHをBigQueryにリプレースした後、DWHの前段に位置する情報系のデータベース(データハブ)を新たにクラウド上に構築。個々の業務システムのデータをほぼリアルタイムにデータハブに集約するようにした。
集まったデータをデータハブ上で加工したうえでBigGueryに持っていき、BigGuery側で集計処理を実行する仕組みをとる。さらに、データアクセス速度を高めるため、BigGuery上のデータを基に、用途に合わせて集計したデータマートを構築した。
コストを抑えるため、データベースもダウンサイジングした。店別・商品別・目的別の在庫をリアルタイムに管理する必要があるため、データベースには大量のアクセスが発生する。これをいったんAWSのNoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」で受ける構成とした。
DynamoDBでデータを受け取った後で、DynamoDB Streamsのストリーミリング処理を使い、非同期にRDBMSの「Amazon RDS」に送る。流量を制御できることから、Amazon RDSのスペックを2段階下げて、コストが4分の1になったという。
●Next:オーケーが取り組んだ、データの品質確保や活用上の工夫
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