[市場動向]
IPA、DX担当者を技術的側面から支援する「DX実践手引書 ITシステム構築編」の改訂版を公開
2024年4月2日(火)愛甲 峻(IT Leaders編集部)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のデジタル基盤センターは2024年3月27日、2021年11月公開の「DX実践手引書 ITシステム構築編」を改訂した「完成第1.1版」を発表した。DX実現に向けたデータ活用への関心の高まりを受け、改訂版では「データスペース」と「データ活用におけるAI」の解説を追記している。
DX実現に悩む担当者のための手引書
情報処理推進機構(IPA)のデジタル基盤センターは、2024年3月27日、「DX実践手引書 ITシステム構築編」(以下、DX実践手引書)の改訂版「完成第1.1版」を公開した。
DX実践手引書は、IPAがデジタルトランスフォーメーション(DX)に未着手、またはその途上にある企業の担当者を技術的側面から支援することを目的に公開している。同書では、DX実現のためのITシステムとその技術要素群を「スサノオ・フレームワーク」として提示。2021年11月の公開以来、アジャイル、IoT、APIなどの技術や手法との関連、先行企業の事例の追記など、改訂を続けてきている(関連記事:IPAが指南するDXの進め方─「DX実践手引書 ITシステム構築編」改訂版を公開)。
「データスペース」「データ活用におけるAI」を追記
今回の改訂では、DX実現に向けたデータ活用への関心の高まりを受け、同書が「あるべきITシステムとそれを実現する技術要素」の1つに定める「データ活用」に関して、「データスペース」と「データ活用におけるAI」の2点を追記している。
データスペースの項目では、「国や組織の垣根を越えたデータの流通を可能にする標準化された仕組み」であるデータスペースのメリットや、データ連携方法とその特徴などを説明している。一例として、データスペースのデータ連携とその特徴を①データを探す、②利用者の認証・認可、③データ転送/アクセスの3ステップで図示。③データ転送/アクセスのための仕組みとして「コネクタ」を紹介している(図1)。
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データスペースでは、従来のように一括でデータの塊をダウンロードするような方法ではなく、多頻度でデータ単位のアクセスが行われる。コネクタは、異なる国や組織などでもデータをスムーズに連携する仕組みであり、データ提供者とデータ利用者が繋がることで、円滑なデータ連携が可能となる。
データ活用におけるAIの項目では、AIシステムが効果的に機能するためのデータ環境整備や、AIのセキュリティ・セーフティへの課題、注目されるAIの機能とその具体例などについて紹介している。
DX実践手引書 ITシステム構築編 完成第1.1版は、IPAのWebサイトからPDF形式でダウンロードできる。