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[市場動向]

AIでビルの空調を最適化─NTTデータ、キヤノンMJ、日立が技術を持ち寄り実証実験

2024年5月17日(金)IT Leaders編集部

NTTデータ、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、日立製作所は2024年5月16日、AIでビルの空調を最適化する実証実験を行ったと発表した。同年3月22日~3月29日に日立ビルシステムの亀有総合センター(東京都足立区)で実証を行い、空調関連のエネルギー消費量を平均16%削減できたことを確認した。

 NTTデータ、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)、日立製作所の3社は、それぞれの技術を持ち寄り、AIでビルの空調を最適化する実証実験を行った。実証は2024年3月22日から3月29日にかけて、日立ビルシステムの亀有総合センター(東京都足立区)で実施した(図1)。

 2021年閣議決定の地球温暖化対策計画では、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、2030年度の「業務その他部門」(商業・サービス・事務所など)における「エネルギー起源CO2排出量」を、2013年度比で51%削減する目標を掲げている。「目標達成にあたっては、オフィスビルにおける電力消費量の約49%と、最も大きい割合を占める空調関連の電力消費量の削減が大きな課題となっている」(3社)。

図1:AIを活用してビルの空調を最適化する実証実験の概要(出典:NTTデータ、キヤノンマーケティングジャパン、日立製作所)
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 オフィスビルなどにおける空調制御は、センサーで現在の室温を測定し、その値を目標値と比較して空調機器を制御し、少しずつ現在の状態を目標に近づける「フィードバック制御(後追い制御)」が一般的であるという。

 「しかし、設定温度に達するまでに時間がかかってしまうため、過剰冷房/暖房になりやすいという課題がある。また、設定温度は季節によって固定が一般的で、日・時間帯によって適切な設定温度になっていないことが、エネルギー消費量が増加する原因となっている」(3社)

 こうした課題の解決に向けて、NTTデータは、AI空調最適化サービス「HUCAST」を提供している。同サービスは、AIの予測を基に室内環境を再現し、快適性(PMV、注1)と消費エネルギー量を考慮した空調運転を実現する「フィードフォワード制御(先回り制御)」を採用。これにより、快適性を保ちつつ消費エネルギーの削減を図れるとしている。

注1:PMV(Predicted Mean Vote)は、温冷感の評価方法に関する国際規格(ISO 7730)で、人の熱的快適性を数値化した指標。寒いを-3、暑いを+3とし、その中間を程度に従って-2、-1、0、+1、+2に割り振って数値化して平均した値。ISO7730ではPMVが±0.5以内となるような温熱環境を推奨している。

 HUCASTは現在、各ビル管理システムとの連携を進めている。今回の実証実験では、日立とキヤノンMJの製品を活用したスキームで検証した。キヤノンMJが提供するネットワークカメラと映像解析ソフトウェア「Crowd People Counter」を組み合わせた人流解析ソリューションを用いて、カメラ映像から人流情報をデータ化。そのうえで、日立のビルIoTサービス「BuilMirai」上で人流、外気温、室内温度の各データを一元管理し、HUCASTとの連携で空調を制御するシステムを構築している。

 測定項目を快適性、エネルギー消費量(kWh)、外気温湿度、室内温湿度、空調設定温度として検証した結果、一定の設定温度で空調制御している既設ビルにおいて、AIを活用して空調をフィードフォワード制御することにより、PMV-0.5~+0.5の快適性を維持しつつ、エネルギー消費量を平均16%削減。仕組みの有効性を確認した。3社は今後、システムのサービス化・外販を目指すとともに、さらなる精度向上に向けて検証を続けるとしている。

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