[市場動向]

パナソニック コネクト、生成AIの回答精度を上げる独自技術、ナレッジグラフRAGと自律AIエージェントを併用

2024年10月4日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

パナソニック コネクトは2024年10月3日、生成AIの回答精度を高める新技術を開発したと発表した。RAG(検索拡張生成)の参照先にナレッジグラフを使って回答の速度と精度を上げる方法と、独自開発のAIエージェントが自律的な質疑応答を繰り返して不要な情報を減らす方法を組み合わせた。今後は、今よりも回答速度を高め、業務の各シーンで使えるようにするとしている。

 パナソニック コネクトは、生成AIの回答精度を高める独自の技術を開発した。以下の2つの方法を組み合わせた。(1)RAG(検索拡張生成)の参照先にナレッジグラフを使って回答の速度と精度を上げる方法(図1)と、(2)独自開発の観察駆動型AIエージェントが自律的な質疑応答を繰り返して不要な情報を減らす方法である。

図1:RAGの参照先である文章とナレッジグラフの比較(出典:パナソニック コネクト)
拡大画像表示

 前提となるRAGは、生成AIの回答精度を上げる方法の1つ。大規模言語モデル(LLM)の外部知識をLLMに渡して回答を生成する。RAGの参照先となるデータには大きく、社内文書などの文章(主にベクトルデータ化して利用)と、ナレッジグラフ(グラフデータベース)がある。

 文章を参照するデメリットは、大量の文章から回答を探すために時間がかかることと、間違った回答をしやすくなること。言語をデータに変換した後、質問への類似度に基づいて回答を抽出することから、例えば同じ単語でも異なる意味が複数ある場合に、異なるデータに変換されてしまうことがある。

 パナソニック コネクトは今回、文章を参照するデメリット(速度と精度)を回避するため、ナレッジグラフを参照する手法を採った。ナレッジグラフは、各種の情報(知識)を体系的に連結し、各々の関係性をグラフ構造で表した情報。文章の中から必要な情報を探すよりも、素早く必要な情報を探し出せる。類似度計算を基に回答を検討する必要が無いため、間違う頻度も下がる。

 ただし、ナレッジグラフを活用しても、質問が複雑になるにつれ、必要ではない周辺情報が含まれてしまう。これを回避する方法として、GPT上で独自開発の観察駆動型AIエージェントを使う技術を開発した(図2)。AIエージェントがナレッジグラフを参照し、ここから必要な知識を引き出した後、不要な情報を削除し、必要な情報をメモリーに記憶する。このプロセスを自律的に繰り返すことにより、必要な情報だけで構成した精度の高い回答を生成する。

図2:観察駆動型AIエージェントによる自律的な質疑応答によって不要な情報を減らす仕組み(出典:パナソニック コネクト)
拡大画像表示
関連キーワード

パナソニック コネクト / RAG / グラフデータベース

関連記事

トピックス

[Sponsored]

パナソニック コネクト、生成AIの回答精度を上げる独自技術、ナレッジグラフRAGと自律AIエージェントを併用パナソニック コネクトは2024年10月3日、生成AIの回答精度を高める新技術を開発したと発表した。RAG(検索拡張生成)の参照先にナレッジグラフを使って回答の速度と精度を上げる方法と、独自開発のAIエージェントが自律的な質疑応答を繰り返して不要な情報を減らす方法を組み合わせた。今後は、今よりも回答速度を高め、業務の各シーンで使えるようにするとしている。

PAGE TOP