セゾンテクノロジーが健康経営の一環として、睡眠にフォーカスした社員の健康向上に取り組んでいる。同社が2024年10月17日に開催したプライベートイベント「HULFT Technology Days 2024」のセッションに、同社 代表取締役 社長執行役員の葉山誠氏が登壇。睡眠データを活用した社員の健康向上への取り組みを説明した。
きっかけは自身の睡眠障害発覚
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、世界33カ国との比較で日本人の睡眠時間は最も短く、「世界一寝ていない国」とも言われている。IT関連企業従事者は全業界で最も睡眠が少なく、平均睡眠時間は5.6時間というデータもある。
こうした「睡眠負債」が健康を蝕むのはもちろん、生活のクオリティーを下げ、仕事では生産性の低下をもたらす。昨今では睡眠不足が心身の健康にもたらす悪影響が認識され、実態把握の調査や睡眠の質の向上への注目が高まっている。
セゾンテクノロジー 代表取締役 社長執行役員の葉山誠氏(写真1)も、生活において睡眠を特に重視している1人だ。同氏は、睡眠への探究心が高じて、S’UIMINが提供する睡眠計測サービス「InSomnograf(インソムノグラフ)」で、正確な睡眠測定まで受けている。InSomnografでは、5日間の睡眠時の脳波をAIによって解析し、約20の睡眠指標を一晩ごとに算出、5日間の測定結果を元に専門家による最終報告書を受け取ることができる(図1)。


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「20年ぐらい前から睡眠への興味は強く、注力していたので睡眠に自信があった」と葉山氏。InSomnografによる5日間の平均スコアは1000点満点中786点と高く、睡眠の量・質とも良好と判定されていた。
しかし、2週間後に届いた最終報告書では睡眠障害が疑われるD判定、「中等症以上の睡眠時無呼吸症候群に該当する可能性がある」という結果が出た。
睡眠にかなりの注意を払っていたはずなのに、自覚がない症状が判明した。思わぬ結果に葉山氏は睡眠時無呼吸症候群の保険治療を始める。そして、このことがきっかけで、自社の社員の健康や睡眠の状況が気になり始めた」という。
3人に1人が睡眠に問題を抱えている結果に
セゾンテクノロジーの社員の睡眠状況を把握すべく、まずはトライアル的に、執行役員を対象にInSomnografによる測定を実施。すると、葉山氏を含む執行役員8人の半数がD判定という結果だった。続いて、40歳以上のマネジャークラスの社員85人が行ったところ、D判定が31%と、3人に1人は睡眠に何かしらの問題を抱えていることが明らかになった。
これらの結果を受け、葉山氏は、初診料の一部を会社負担として、対象となる社員に治療を促すことにした。さらに、データ連携プラットフォームを主事業としているセゾンテクノロジーならではの取り組みとして、これらの検査結果の分析を行うべく、ダッシュボートを構築し、社員の睡眠傾向の可視化に取り組んだ(図2)。

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現時点ではデータがまだ少ないため、相関関係の確定はしづらい点も多いようだ。それでも、「単に年代別、性別、所属部門といったカテゴリーごとに睡眠の傾向を可視化するだけでなく、有給取得率、在宅勤務率などの勤怠データとも掛け合わせることで相関関係などが導き出せるのではないかと考えている」(葉山氏)という。
●Next:「健康施策の導入」「データ連携/AI分析」で社員の健康向上図る
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