[市場動向]

「AIがカスタマーサービスを根本的に変える」─ZendeskがCS担当者のAIファーストを支援

2024年11月6日(水)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米Zendeskの日本法人は2024年10月30日、説明会を開き、カスタマーサービス向けAIサービス「Zendesk AI」のアップデート内容を説明した。米Zendesk CTOのエイドリアン・マクダーモット氏が、オムニチャネル対応のAIエージェント、エージェントCopilot、AIエージェントビルダーなど一連の新機能がユーザーにもたらすメリットを紹介した。合わせて、日本法人社長の冨永健氏が日本企業の顧客体験にまつわる取り組みの状況を説明した。

消費者の半数以上が「人間よりボットとのやりとりを好む」

 米Zendesk(ゼンデスク)がまとめた、顧客体験(CX)に関する年次調査レポートの2024年版によると、グローバルの消費者の半数以上がすぐにサポートを受けることができるという理由で、「人間よりボットとのやりとりを好む」と回答している。また、ビジネスリーダーの88%が「AIは人間のサポート担当者を効果的に支援し、カスタマーサービス/サポート担当者の知識と経験を増やす」と考えている。

 日本国内でも、自社のCXを統括するリーダーの78%が「今後1年間で最新のチャットボット機能を導入するための投資を増やす」と回答しており、Zendeskは、「“AIファースト”の未来に向けて準備を進めるCXリーダーが増えている」と説明。また、「2027年までにすべてのチャネルでAIを活用することになる」とした回答が80%、「今後1年以内にCX専用の生成AIへの投資を増やす」とした回答が70%といずれも多数を占めている。

「AIのインパクトは電話やインターネットの登場に匹敵する」

 米Zendeskで最高技術責任者(CTO)を務めるエイドリアン・マクダーモット(Adrian McDermott)氏(写真1)は、AIはカスタマーサービスを根本的に変えるテクノロジーであり、電話やインターネットの登場に匹敵するものであると強調した。

 「将来的には、カスタマーサービスにおけるすべての対応に何らかのAIが関与するようになる。顧客対応の80%はAIによって完全に解決され、残りの20%に人間のオペレーターが必要になるだろう」

 マクダーモット氏は、同社のカスタマーサービス向けAIサービス「Zendesk AI」の中で、オムニチャネル対応の「AIエージェント」や、「エージェントCopilot」「AIエージェントビルダー」など一連の新機能がユーザーにもたらすメリットを紹介した。

写真1:米Zendesk CTOのエイドリアン・マクダーモット氏

 AIエージェントは、人間の担当者の対応に近いやり取りを自律的に実行するAIチャットボットである。音声通話を含めてあらゆるデジタルチャネルで利用でき、サポート担当者と一緒に、または単独で顧客の問い合わせに対応する。

 これに関連した新機能として今回発表されたのがAIエージェントビルダーだ。AIエージェントの作成・管理を簡易にし、ブランドに合わせたトーン調整なども行える。トレーニングを必要とせず、構築、展開、メンテナンスにかかる時間を短縮できる(図2)。

 マクダーモット氏によると、金融サービスを提供する米Esusuは、1⽇でAIエージェントの設定を完了し、導⼊直後からメール対応の64%の⾃動化に成功したという。

図2:AIエージェントビルダーの画面イメージ(出典:Zendesk)
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繁忙なCS担当者の業務負荷を減らす「エージェントCopilot」

 エージェントCopilotは、カスタマーサービス(CS)に特化したAIアシスタント。機能を強化して、繁忙なCS担当者の業務負荷を減らしつつ、企業が一貫性のある高品質のカスタマーサービス提供を支援するとしている。

 Zendeskによると、グローバルにおいて一部の業界はCSエージェントの年間平均離職率は50%に達しているという。マクダーモット氏は、「人間のエージェントが対応するケースの複雑さ、それらのケース対応の一貫性を支援するツール」とエージェントCopilotの開発意図を説明した。

 同ツールは、顧客のニーズを予測して推奨事項を提示し、自律的にアクションを実施するオートアシストモード(図2)や、担当者に代わって特定のプロセスを実行、変更点を即時修正し、担当者に最新の手順を提示するCopilotビジネスプロシージャ、関連性のある問題やプロアクティブなインサイトを表示するエージェントワークスペースなどを備えている。

図2:エージェントCopilotに備わるオートアシストモードの利用イメージ(出典:Zendesk)
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 エージェントCopilotの先行事例として、スイスの食品包装メーカー、Rothoを挙げている。同社はオートアシストを活用して、 CS担当者の1シフトあたり⽣産性を3倍以上向上しているという。

 今後、さらなる機能強化として、2025年上半期に音声通話対応のエージェントCopilotのリリースを予定する。顧客の印象や問い合わせ目的といった通話に関するインサイトをサポート担当者に即座に提示し、ナレッジベースを参照しながら回答を提案するという。

●Next:強化された「AIインサイト」機能は何を可能にするのか

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