アバナードは2024年11月7日、生成AIサービス「Microsoft 365 Copilot(旧称:Microsoft Copilot for Microsoft 365)」が職場に与える影響を同社内で調査した結果を発表した。体系化された創造性、アイデアの共有、問題解決能力を強化できることが明らかになった一方で、自発的に生み出された、もしくは独創性のある思考の向上には制限が見られた。調査は、同社のグローバル各拠点に所属する従業員700人を対象に、2023年7月~10月に実施した。
米アバナード(Avanade)は、生成AIサービス「Microsoft 365 Copilot(旧称:Microsoft Copilot for Microsoft 365)」(図1)が職場に与える影響を調査した。同社のグローバル各拠点に所属する従業員700人を対象に、2023年7月~10月に実施した。回答者は社内の各部門と職務階級にわたっており、それぞれMicrosoft 365 Copilotに関する知識レベルは異なっていた。
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調査開始時に、Microsoft 365 Copilot導入以前の職場体験や姿勢を確認するための調査を行い、その7週間後に2回目の調査を実施することで、Microsoft 365 Copilot導入後の従業員体験の変化を明らかにした。
職場の6つの要素(コミュニケーション、創造性、信頼、仕事の満足度、帰属意識、組織市民行動)に与える影響を明らかにした。全体的な調査結果からは、体系化された創造性、アイデアの共有、問題解決能力を強化できることが明らかになった一方で、自発的に生み出された、もしくは独創性のある思考の向上には制限が見られた。
(1)コミュニケーションに与えた影響
調査開始前は、従業員の72%がMicrosoft 365 Copilotによる会議の文字起こしを想定し、コミュニケーションに慎重な姿勢を示していた。しかし、6週間の使用後では、45%がコミュニケーションに対する警戒心が軽減されたことを感じ、ツールへの親しみが増すにつれてコミュニケーションがよりオープンになるという変化が見られた。
(2)創造性とイノベーションに与えた影響
アバナードの創造性・イノベーションのスコアは、全体として2023年から2%上昇し、82%になった。新しい働き方を取り入れることへの支持率は80%から89%に上がったが、独創的な思考が必要となるタスクへの選好度がわずかに低下した。
(3)信頼性に与えた影響
ほぼ10人に9人(88%)がMicrosoft 365 Copilotは企業の価値観と一致していると認識しており、半数以上(65%)が個人の価値観とも一致していると回答している。Microsoft 365 Copilotによる業務アシストを高く評価し、満足度は75%だった。しかし、ツールの透明性(78%)と説明責任(65%)の評価が、ツールの意思決定プロセスを理解して強固なガバナンスを実装することの重要性を反映する結果となった。
「この結果は、当初慎重さを見せていた大多数の従業員も、コミュニケーションを目的としたMicrosoft 365 Copilotの価値を認識していることを示している。しかし、自発的で独創性のある思考を制限する可能性もある。従業員はシステムの提案に丁寧さや公平性を認める一方、長期的には見落としや説明責任について懸念を抱いている」(同社)。
(4)仕事の満足度に与えた影響
Microsoft 365 Copilotの導入後、85%の従業員が仕事に達成感を感じ、80%が引き続き意欲的にタスクに取り組んでいると回答している。Microsoft 365 Copilotが仕事の意欲となる側面を削ぐことなく日常業務にうまく取り入れられたことを示している。
(5)帰属意識に与えた影響
総合的に見ると、チームの結束力はMicrosoft 365 Copilotの導入後も維持され、85%が仲間意識やサポート体制が安定していたと報告した。しかし、帰属意識とチームコラボレーションのスコアは2%減少し、さらなる検討や改善の余地があることを示している。
(6)組織市民行動に与えた影響
技術的な適応性は86%に上昇し、Microsoft 365 Copilotが技術的なスキルや新しいツールへの適応をサポートまたは強化する可能性を示している。思いやりとマナーは88%で安定しており、Microsoft 365 Copilotが組織の協力的な姿勢や親切心を損なわなかったことを示している。