NECは2024年11月12日、グループ会社の部品購買業務における納期調整を「交渉AI」で自動化する検証を実施したと発表した。検証の結果、調達担当者が実施していた業務をAIが行うことで、これまで数時間から数日要していた調整業務時間を数分単位に短縮し、適用範囲を拡大しても業務効率を向上できることを確認した。
NECは、グループ会社の部品購買業務における納期調整をAIで自動化する検証を2024年9月・10月に実施した。NECグループ会社の日本全国の拠点に自動交渉AIを適用し、参加サプライヤー10社以上との間で、約1300品目を対象に納期を調整した。検証の結果、調達担当者が数時間から数日をかけていた調整業務時間を数分単位に短縮できることを確認した(図1)。
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NECグループ会社がサプライヤーに対して発注済みの部品に関して、自動で交渉した。交渉の場面は2つある。1つは、サプライヤーの納期回答が注文納期よりも遅延している場合。もう1つは、生産計画の変更を受けて納期の前倒し依頼が必要になった場合である(図2)。
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購買側(NECグループ会社側)に導入した自動交渉AIが、部品の在庫状況や生産計画情報を活用し、チャットボットを介して販売側の担当者(人)と納期を調整した。NECグループ会社の実ラインで稼働しているシステムと連携し、納期変更が必要となったPO(購買発注)について納期を調整した。
従来、調整や交渉は、人でなければ対応できない領域と考えられてきた。現在では、AIに任せられる領域も出てきた。こうした中でNECは2023年、電子部品購買の実業務で、調整と交渉自動化を実証済み。今回、適用範囲を拡大しても業務効率を向上できることを確認した。
今回の検証では実システムと自動交渉AIをシステム連携したが、検証時の実システムとの連携は負荷が大きいため、検証用ファイル(品目情報などを定義するExcelファイルやCSVファイル)を作成するだけで自動交渉の検証ができる環境も構築したという。外部向けに提供するサービスとして、2025年1月以降、簡易検証を実施できるように準備を進めているという。