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日医工、AI画像解析で無菌製剤製造工程の作業漏れを検知、2025年3月に岐阜工場で稼働

2024年12月5日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日医工(本社:富山県富山市)は2024年12月5日、無菌製剤の製造工程における作業漏れ検知の高度化と、ベテラン技術者のノウハウ継承による技術者の早期育成を狙い、富士通とAI画像解析の実証実験を開始したと発表した。2025年3月に同社岐阜工場(岐阜県高山市)での本稼働を予定する。

 日医工は富山県富山市に本社を置く、1965(昭和40)年創業の製薬メーカー。後発医薬品(ジェネリック医薬品)製造の国内最大手である。

 同社は、無菌製剤の製造工程における作業漏れ検知の高度化と、ベテラン技術者のノウハウ継承による技術者の早期育成を狙い、AI画像解析の実証実験を開始した。実験は、2024年11月19日から12月20日まで、同社の岐阜工場(岐阜県高山市)において富士通と共同で実施している。実験結果を踏まえ、2025年3月に同工場での本稼働を予定する。

 実証の1つとして、無菌室の入口に設置した監視カメラの映像データから、入退室時に適正かつ標準化した作業の正確性を分析し、技術者の作業漏れをリアルタイムに検知可能かを検証する。システム要素として、富士通のリアルタイムに人の動作を検知可能なAIサービス「Fujitsu Kozuchi for Vision」を活用する。(画面1)。

 検知結果の通知方法については、現場技術者に対するアラーム音や警告ライトの点滅による喚起、スマートフォンの活用など、複数の仕組みを検討する。これにより、標準的ではない作業に起因する製品廃棄処分をゼロにし、結果として無菌製剤の安定供給を目指す。

画面1:非標準的な作業を検知している例(左はOK行動、右はNG行動)(出典:日医工、富士通)
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 もう1つの実証として、作業内容を撮影した映像から、ベテラン技術者と経験の浅い技術者の違いをAIで分析して可視化する。ブロードリーフの生産性向上・業務最適化ソフトウェア「OTRS(Operation Time Research Software)」に、富士通の作業分節AI技術を実装した「OTRS+AI」を用いる。

 まず、ベテラン技術者の作業映像を要素作業ごとに分割したデータを教師データとしてAIに学習させ、経験の浅い技術者の作業映像を学習したAIが自動で作業分節したものと、先に作成した教師データとを並列表示。教育指導者が比較検証しながら、経験の浅い技術者のスキルアップを促す(画面2)。

 技術者のスキルレベルを短期間でベテラン技術者のレベルまで引き上げることを目指す。また、動画による作業標準マニュアルの作成や、技術者の事前の動作シミュレーションなど人材育成全体で効率化を図り、教育にかかるコストを半減させるとしている。

画面2:ベテラン技術者(左)と経験の浅い技術者(右)の作業内容を並列に表示して動作を比較している画面(出典:日医工、富士通)
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