[「人間中心のAI」で企業変革を加速する─生成AIの進化・活用のこれから]

RAGそしてAIエージェント─生成AIの能力を拡張するアプローチ:第3回

2025年1月23日(木)森 正弥(博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO, Human-Centered AI Institute 代表)

AI技術は日々進化を遂げ、社会実装が現実の段階に入っているが、多くの企業ではまだ部分的な活用にとどまり、AIに対する脅威や不安のマインドが依然として存在する。あるべき姿は「人間中心のAI活用」であり、その推進にあたって何をなすべきか。本連載では、具体的なアプローチを交えながら、企業がAIをどのように向き合い、活用し、未来の成長に役立てていくかを考察していく。第3回では、生成AIの能力を拡張するアプローチについて説明する。

 生成AIを導入する企業が急増する一方で、成果をどのように最大化していくかは大きな課題である。今回は、連載でここまで述べてきた「人間中心のAI」という考え方を念頭に、人を中心としたプロセスやシステムをどのように築き、強化できるかという観点とアプローチについてお伝えする。

 第2回で述べた「生成AIによる組織生産性の向上」がある程度進み、下地ができたら、次は自社における生成AI基盤を拡張していき、システムと連携させる高度化への取り組みに進むことができる。これは「生成AIを用いたビジネスシステムの高度化」と言える。昨今話題になっている、人に代わって種々のタスクを実行する自律的なプログラム「AIエージェント」の構築にもつながる。

データ/システム連携で自社のナレッジを活用するRAG

 生成AI基盤を拡張するアプローチとして、まず、複数の大規模言語モデル(LLM)の使い分けをサポートする拡張がある。主要なLLMとして、OpenAI の「GPT-4o」シリーズをはじめ、グーグルの 「Gemini 1.5 Pro」、Anthropic(アンソロピック)の「Claude-3.5 Sonnet」、Metaが開発したオープンソースの「Llama−3.1」などが広く活用されている。企業においては現状、自社の生成AI基盤をこれらのLLMから1つを選んで、それに依存する形で構築するケースが多い。

 しかし、LLMにはそれぞれ強み・弱みや特徴があり、用途によってはミスマッチが生じたり、十分なコスト効果が得られない場合もある。そこで、各LLMを用途によって使い分けられるアーキテクチャを生成AI基盤に採用することで、より効果的な活用を狙うこともできる。

●Next:自社システムとの連携で実現する本格的な拡張

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