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[「人間中心のAI」で企業変革を加速する─生成AIの進化・活用のこれから]

代替ではなく共創─AIが拡張するマーケティング/クリエイティブの能力と創造性:第4回

2025年5月1日(木)森 正弥(博報堂DYホールディングス 執行役員/CAIO, Human-Centered AI Institute 代表)

AI技術は日々進化を遂げ、社会実装が現実の段階に入っているが、多くの企業ではまだ部分的な活用にとどまり、AIに対する脅威や不安のマインドが依然として存在する。あるべき姿は「人間中心のAI活用」であり、その推進にあたって何をなすべきか。本連載では、具体的なアプローチを交えながら、企業がAIをどのように向き合い、活用し、未来の成長に役立てていくかを考察していく。第4回では、マーケティング/クリエイティブ領域におけるAI活用について解説する。

 第1回から第3回にわたって、企業・組織における生成AIの業務活用を解説してきた。今回は、デザイン、コンテンツ制作、マーケティングなどのクリエイティブ領域にフォーカスして取り上げる。

 デザイナーやクリエーター、マーケターといった職種は、個々人の創造性によって価値を生み出すという側面も大きいが、これらの業務領域において、生成AIをはじめとする最新のAIはどのような変革をもたらすのだろうか。ユースケースを挙げながら見ていく。

クリエイティブ領域では早期からAIを活用

 クリエイティブ領域においては、生成AIが登場する前、2016年の時点ですでにAIを積極的に活用していこうとする動きがあった。例えば、デザイナーのクリエイティブワークを支援する米アドビの「Adobe SENSEI」のリリースはこの頃だ。また、マーケティングにおいては、一部の大手企業に限られていたものの、キャンペーンバナーやリスティング広告などの作成をAIに委ねる試みが始まっていた。

 中国でのAI開発も当時から加速し始め、話題を呼んだニュースもあった。Alibaba Groupが2016年にリリースした広告バナーなどを自動作成ツール「Luban」を開発し、ネットショッピングのトランザクションが世界最高となる「独身の日(11月11日)」に導入。1日で1億4000万枚ものバナーを自動生成したという。

 その後、マシンラーニング(機械学習)やディープラーニング(深層学習)などが台頭した第3次AIブームを経て、今の生成AI/大規模言語モデル(LLM)ブームに至る。ChatGPTを世に出す前の2021年1月、米OpenAIは画像生成AIの「DALL-E」をリリース。クリエーターの注目を集め、「Midjourney」や「Stable Diffusion」などの競合サービスと共に、高精度な画像を描くAIのポテンシャルを見せつけることになった。

 こうした進化を目の当たりにし、クリエイティブワーカーの間で、みずからの業務にAIを取り入れる動きが加速している。開発競争から性能あたりの利用コストも下がり、今や多くの企業が、さまざまなクリエイティブ/マーケティング業務でAIを活用している。

●Next:マーケティング業務におけるAI活用シーン、AIは”優秀な相棒”に

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