[市場動向]

NTT、複数のAIエージェントが対話を通じて相互理解し協調する技術を開発

2025年8月12日(火)IT Leaders編集部、日川 佳三

NTTは2025年8月8日、複数のAIエージェントが自律的に協調する基盤技術を開発したと発表した。人間と同じように対話を通じて他のエージェントとコミュニケーションをとり、チーム内でアウトプットのイメージをすり合わせながら協調してタスクを解決する。デザイン、広報、マーケティングを統合する企業ブランディング戦略の立案など複数のニーズを満たす複雑な計画業務に役立つとしている。

 NTTは、複数のAIエージェントが自律的に協調する基盤技術を開発した。2025年度中にPoC(概念検証)を実施する。

 複数のエージェントが人間と同じように対話を通じてコミュニケーションをとり、チーム内でアウトプットのイメージをすり合わせながら協調してタスクを解決する。デザイン、広報・マーケティングを統合する企業ブランディング戦略の立案」など複数のニーズを満たす複雑な計画業務に役立つとしている(図1)。

図1:複数のAIエージェントが自律的に協調する基盤技術の概要(出典:NTT)
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 「従来のエージェント協調システムは、分割したサブタスクを各エージェントが個別に処理する。この仕組みでは、サブタスクの結果を連結することで解決可能な定型タスクをこなせるが、複数のニーズを一度に満たす必要があるタスクを完遂するのが困難である。複数部署間の調整が必要な企業戦略検討などの複雑なタスクを実行できない」(NTT)

 上記の課題に対し、NTTが開発した技術では、各AIエージェントが会話を通じて他のエージェントとの「エピソード記憶」(個別の経験)を獲得し、段階的に抽象化したものを「意味記憶」(一般化された事実)として知識を階層的に管理する。この知識に基づいてエージェント同士が議論を繰り返すことで、相互的な共通理解が進み、複数の視点を取り入れた議論が可能になるという。

 さらに、チーム会議や専門的な知識を持つ専門家エージェントとの会話を通じて知識を更新することで、エージェント自身の知識を精錬させていく。「異なる立場を持つエージェント同士が知識を相互にチェックすることで、最終的な解の正確性の担保につながる。議論を通じて知識を蓄積し、相互理解を深めたエージェント群を再利用することで、タスク解決性能を継続的に向上させることができる」(同社)。

表1:各エージェントがこなしたサブタスクの内容と、従来手法との結果の比較(出典:NTT)
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 NTTは、紅茶に対する複数の顧客ニーズを反映したビジネスプランの作成という利用シーンを設定して同技術を検証している。表1は従来手法と結果を比較したもので、エージェント同士が互いの検討内容を考慮することで、複数の顧客ニーズに応じた幅広い紅茶関連製品の開発に役立てられる。

 図2は、同技術で最終的に得られたアウトプットで、紅茶の淹れ方やフレーバーに関するワークショップを通じて顧客体験を向上させるというビジネスプランを提案している。

図2:最終的なアウトプットとしてのビジネスプランを提案(出典:NTT)
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 また、NTTはAIエージェントが生成した企画書と、正解として人手で準備した複数の企画書案との一致度合いを評価している。生成文書の品質を測るRouge指標では、従来手法を平均14.4%上回った。過去の知識を再利用した場合は、17.2%の向上を確認したという。

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