矢野経済研究所は2025年2月5日、国内におけるビジネスチャットツール市場の調査結果を発表した。2023年度の市場規模は、コロナ禍の影響で需要を先取りした前年度までの反動で伸びが鈍化し、前年度比110.9%の366億7000万円と推計。2024年度は他社サービスとの連携や生成AIを含むAIの適用が活発化しており、前年度比109.9%の403億円を見込む。
矢野経済研究所によると、国内におけるビジネスチャットツール市場の2023年度市場規模(事業者売上高ベース)は、コロナ禍の影響で需要を先取りした前年度までの反動によって伸びが鈍化し、前年度比110.9%の366億7000万円と推計している。
2024年度は、オフィス以外にも店舗・接客、工場、建設、医療・介護などの現場を含めて生産性向上や自動化を実現するため、他社サービスとの連携や生成AIを含めたAIの適用が活発化しているという。ビジネスチャットは業務に欠かせないシステム基盤へと移行しつつあるとし、2024年度の市場規模は前年度比109.9%の403億円を見込む(図1)。
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注目点として、ビジネスチャットツール事業者が自社ソフトウェアに生成AIを適用する方法の違いに着目。大きく、自社サービスへの直接適用と、複数の生成AIサービスを提供するシステム基盤の活用の2つに分かれるという。
前者は、米OpenAIをはじめとした特定の生成AIをビジネスチャットに適用し、付加価値を上げる方法である。後者は、生成AIの技術開発競争のスピードが速いことを踏まえ、複数の生成AIからユーザーが選択できるようにして中立性を保つ方法である。
矢野経済研究所は、2025年度以降のビジネスチャットツール市場は、コロナ禍のような一時的な高い成長は見込めず、成長率は鈍化していくものの、継続的に拡大すると見ている。2025年度の市場規模は446億円、2027年度には467億円に達すると同社は予測している。
「業務に欠かせないシステムとしての位置づけにはまだ至らないが、各種業務で必須となるツールとの連携や、生成AIを含むAIの適用拡大が進む。また、金融や医療など業界特化型のビジネスチャットは、成長の余地が多く残っている」(同社)