[事例ニュース]
J:COM、カスタマーセンターの通話データ分析に生成AIを活用、感情分析も行い顧客理解を深める
2025年4月1日(火)IT Leaders編集部、日川 佳三
ケーブルテレビ事業「J:COM」を運営するJCOMは2025年4月1日、マーケティング施策に生成AIを導入した成果を発表した。国内14拠点のカスタマーセンターで収集したデータをマーケティング施策に活用すべく、グーグルの生成AIサービス「Gemini」を導入。問い合わせ内容の分類精度や顧客理解の向上を図っている。電話応対記録の要約に適用した結果、月に1500時間以上(オペレーター約10人分)の作業を削減したという。
ケーブルテレビ事業「J:COM」を運営するJCOM(以下、J:COM)は、2024年度からAIの活用を推進している。最初の取り組みとして、国内14拠点のカスタマーセンターで収集したデータをマーケティング施策に活用すべく、グーグルの生成AIサービス「Gemini」を導入した。1日あたり5000件の通話データを生成AIで分析している(図1)。

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電話応対の要約では、月に1500時間以上(オペレーター約10人分)の作業を削減したという。現在、履歴の入力やケース処理の自動化を進めている。2027年度までに、顧客1人にかかる問い合わせ対応の平均時間を40%削減することを目標としている。
生成AIを用いて、顧客の問い合わせの意図や背景を自動的に体系化し、従来150種類が限界だった問い合わせの分類が3000種類になり、顧客理解をより深められるようになったという。
また、感情分析への取り組みでは、応対開始時と終了時の感情の変化を見る「最終ポジティブ率」とNPS(商品・サービスに対する信頼・愛着の指標)に相関があることが判明した。2025年度からこの変換率をオペレーターの評価軸の新たな重要指標として採用する(図2)。
J:COMではこれまで、サービス品質の評価に顧客アンケートに基づくNPSを用いていたが、回答の背景となる詳細な理由が分かりづらく、回答数を確保することも難しかったという。
「AIを活用することで、『なぜ、顧客がそのような評価をしたのか』を可視化できる。さらに、分析の対象範囲が従来の数パーセントからすべての応対に拡大することで顧客理解の精度が高まる」(同社)

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