[調査・レポート]
“トランプ関税”が日本企業のIT戦略に影響、コスト管理強化とクラウド化が進む─ITR
2025年5月15日(木)IT Leaders編集部、日川 佳三
アイ・ティ・アール(ITR)は2025年5月13日、米国の相互関税政策(通称:トランプ関税)の発表を受けて同年4月に実施した、IT投資動向調査の結果を発表した。調査で44%の企業がIT投資計画を見直す意向を持つことが判明。当初計画した予算よりも「増額した(増額を見込む)」との回答が42%に上り、「減額した(減額を見込む)」の25%を大きく上回っている。また、IT支出がハードウェアからクラウドサービスへとシフトする傾向が見てとれる。
アイ・ティ・アール(ITR)は2025年4月、米国の相互関税政策(通称:トランプ関税)の発表を受けて、国内企業のIT投資への影響を調査した。IT戦略の策定やIT実務に関わる課長以上の役職者を対象に4月22日~24日に実施し、1271件の有効回答を得ている。
調査から、2025年度のIT予算に関して、44%の企業がIT投資計画を見直す意向を持つことが判明した。当初計画した予算よりも「増額した(増額を見込む)」との回答が42%に上り、「減額した(減額を見込む)」の25%を大きく上回っている。また、IT支出がハードウェアからクラウドサービスへとシフトする傾向が見てとれる。
7割超が自社の業績が「悪化すると思う」と回答
調査ではまず、トランプ米政権の関税政策が自社の業績にどのような影響を及ぼすかについて、率直な意見を聞いている。結果、「大幅に悪化すると思う」(23%)または「やや悪化すると思う」(48%)と回答した企業は合計で71%に上った(図1)。とりわけ、自動車製造業は影響を深刻に受け止めており、業績悪化を懸念する企業は90%に達する。

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また、自社のIT/DX戦略の進展にもたらす影響については、「大きく減速させる」または「やや減速させる」と回答した人が半数を超える60%に上った。「関税政策が国内企業の業績だけでなくIT戦略の進展にも影を落とすと考える企業が多いことが判明した(ITR)。
半数以上が2026年度のIT予算とIT中期計画を見直す意向
トランプ関税に伴う、自社のIT投資計画の見直し状況も尋ねている。結果から、トランプ関税が国内企業のIT投資に影響を及ぼしている兆しがうかがえる。
2025年度のIT予算については、「すでに見直しを実施済みである」(4%)、「現在見直しを検討中である」(14%)、「今後見直す可能性がある」(26%)を合わせて44%の企業が見直しの意向を持っている(図2)。

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●Next:各社が模索する、2026年度IT予算の見直し
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