インターネットイニシアティブ(IIJ)は2025年5月23日、米DittoLiveのインターネット非依存型データ同期技術/ソフトウェア「Ditto」を販売開始すると発表した。Bluetooth、無線LAN、LANなどでデバイス同士のメッシュネットワークを構成し、リアルタイムにデータを同期する。ライセンス販売に加え、技術サポートやトレーニング、IIJの製品・サービスと組み合わせたシステム導入支援を提供する。
IIJが販売する「Ditto(ディト)」は、米DittoLiveが開発・提供するインターネット非依存型データ同期技術/ソフトウェアである。
Dittoは、インターネットが利用できない環境においても、デバイス同士がBluetooth、Wi-Fi、LANなどのネットワークで通信し、リアルタイムにデータを同期・分析できる新たな通信技術である。Windows、iOS、AndroidなどのOSで動作する。
同社開発のメッシュネットワーク技術を採用している。複数のデバイス同士がインターネット上のクラウドやサーバーを経由することなく自動的にメッシュネットワークを構築し、最適な経路を選択のうえ、データ送受信、およびデータ同期を行う。インターネット接続が可能になった段階で、オフライン時のデータ編集で生じた差分は、システム内で同期が行われる(図1)。

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大規模災害時など、携帯電話網や固定電話網が利用できない環境でも、現場でスマートフォンやPC間でのコミュニケーションが可能になる。ネットワークの遅延や切断に強い特性から、製造現場でのIoTの通信手段や、イベント会場など混雑でインターネットにつながりにくい場所での利用などに有効である。
Dittoの導入事例として、フライト中の航空機内で客室乗務員が利用するアプリや、レストラン内のオーダー管理/レジ端末などで利用されている。ほかには、安定した接続性やリアルタイムのデータ共有、モバイル回線障害時も通信の継続が求められる警察や消防、物流、小売、エンターテインメントなどの各分野での利用が検討されている。
IIJは、専用線やブロードバンドなどの光回線やモバイル回線によるインターネット接続サービスや、LoRaWAN、プライベートLTE、ローカル5G、Wi-Fi HaLowなどの無線接続サービスを提供している。
「実際には、通信設備の障害などの理由で一時的にインターネットに接続できない状態も存在し、そのような地域や現場のデータも孤立させることなく連携、活用することがデータ駆動社会の実現に必要である。この認識の下、インターネットに依存しない通信・データ同期技術であるDittoに注目し、“つながらない”環境で発生したデータを包括したデータ活用ケースの検証・開発を進めていく」としている。