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2024年の国内ソフトウェア市場は12.1%増、生成AIやモダナイゼーションの需要が牽引─IDC

2025年6月10日(火)IT Leaders編集部

IDC Japanは2025年6月9日、2024年(2024年1月~12月)の国内ソフトウェア市場について、実績と予測を発表した。前年比12.1%増の5兆3729億3300万円と推定している。生成AI関連製品などが市場を牽引した。また、パブリッククラウドサービスの売上は前年同期比22.1%増の2兆3386億円500万円と全ソフトウェア市場の43.5%を占め、初めて2兆円を超えた。

 IDC Japanは、2024年(2024年1月~12月)の国内ソフトウェア市場について、実績と予測を発表した。

 パブリッククラウドサービスを含む同市場を、3の大分類市場、20の中分類市場、および79の機能市場に分類している。グローバル売上額は前年比13.4%増の1兆1005億米ドル、国内ソフトウェア市場は前年比12.1%増の5兆3729億3300万円と推定している。2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は10.2%で推移し、2029年に8兆7261億円に達すると予測している(図1)。

 また、大分類における各市場のCAGRは、アプリケーション開発/デプロイメント市場が17.9%、アプリケーション市場が7.1%、システムインフラストラクチャソフトウェア市場が7.0%と算出している。

図1:国内ソフトウェア市場の予測、2025年~2029年(出典:IDC Japan)
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 2024年の国内ソフトウェア市場は、AI/生成AIの活用の本格化、アプリケーションのモダナイゼーション更新、サイバーセキュリティ対策の増加などが国内企業のソフトウェア投資を押し上げて堅調に成長した。なかでも、生成AI関連製品、AIを活用した顧客体験向上のためのCRM、サイバーセキュリティ/ガバナンス対策のためのセキュリティソフトウェア市場の成長が顕著だったという。

 また、ソフトウェア市場のうち、パブリッククラウドサービスの売上は、2024年に前年同期比22.1%増の2兆3386億円500万円と高い成長を維持し、全ソフトウェア市場の43.5%を占め、初めて2兆円を超える規模になった。

 IDCが観測した2024年のソフトウェア大分類市場のトレンド推移は以下のとおりである。

  • アプリケーション開発/デプロイメント市場:前年比15.8%増、1兆3455億2400万円。AIプラットフォーム市場は高成長を継続し(前年比67.1%増)、アナリティクス/BI市場(同15.3%増)、アプリケーション開発ソフトウェア(同10.5%)、データベース/データレイクなどを含むデータ管理市場(同7.5%増)が前回予測を超える成長を遂げ、同市場全体の成長を牽引した。AI活用の本格化に伴う学習データや参照コンテンツの管理、AIを利用したアプリケーションコード生成やデータ分析などの需要増から高成長を示した。
  • アプリケーション市場:前年比11.6%増、2兆3843億7800万円。CRMアプリケーション市場(同14.6%増)、コンテンツワークフロー管理市場(同14.3%増)、およびERMアプリケーション市場(同12.1%増)が成長を牽引した。生成AIやAIエージェントの組み込み/連携が始まっており、業務の自動化やモダナイゼーションに対応した更改要求が高まった。
  • システムインフラソフトウェア市場:前年比9.8%増、1兆6430億3000万円。セキュリティソフトウェア市場(同14.6%)、ストレージソフトウェア市場(同7.3%)が高成長となった。AI活用に向けたデータ保全、データガバナンスとセキュリティ運用など、AI活用関連の市場が拡大した。

 同社Software Solutions グループディレクターの眞鍋敬氏は、現在、世界各地の紛争や関税問題、消費者物価の上昇など国内経済状況は不透明感を増しており、企業業績予想に影響を与えていると指摘して、次のように述べている。

 「このような市場背景では業務効率の高い企業が生き残ると考えられ、AI/AIエージェントによる業務の自動化/効率化を企業は活用せざるをえないだろう。これに伴うデータ/コンテンツ基盤やセキュリティ/ガバナンスは今後さらに重要性が高くなる。ユーザー企業はESGに留意しつつ、AIエージェントの業務適用を開始し、デジタル競争力強化を行っていくべきである」

 一方、2027年以降は次第に成長が回復するとIDCは見ている。特に業務効率化のための生成AI/AIエージェントの業務組み込みや、これに伴うデジタルCXにおける自動化、サイバーセキュリティ対策に向けたソフトウェア投資が2025年以降も堅調に成長するという。

 今回の発表は、米IDCが2024年5月に発行した「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker」に基づく。同レポートは、日本を含むグローバル9地域におけるソフトウェア/パブリッククラウドサービス市場の2024年までのベンダー売上実績と2025年~2029年の市場予測を掲載している。

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