生成AIの業務活用が本格化し、自律的にタスクを実行するAIエージェントに熱い視線が注がれている。しかしAIの性能はデータの原則「Garbage in, Garbage out」のとおり、データの品質に大きく依存する。AIエージェントや自社データで回答精度を高めるRAG(検索拡張生成)を有効に機能させるには、部門横断で整備された信頼性の高いデータが不可欠だ。生成AIの真価を引き出し、競争優位を得るためには、IT部門が主導してこれらの手法を取り入れ、全社的なデータ基盤を再構築することが急務である。
アシスタントからエージェントへ、進化し続ける生成AI
2022年11月の「ChatGPT」の登場以来、生成AIは驚異的なスピードで進化と普及を続けている。当初は文章生成やアイデア創出といった個人の生産性向上ツールとしての側面が注目されたが、現在では企業の基幹業務やサービスに組み込まれ、ビジネス価値を創出する原動力として不可欠な存在になりつつある。
この動きは主要な調査結果からも明らかだ。例えば、PwCコンサルティングが2025年1月に発表した「世界CEO意識調査(Annual Global CEO Survey)」によると、CEOの56%が業務効率性の向上を、34%が収益性の向上を、32%が売上の増加を報告している。
ユースケースも高度化している。当初は情報収集や文書作成支援といった用途が中心だったが、現在ではマーケティングコンテンツの自動生成、ソフトウェアのコード開発支援、顧客や従業員からの問い合わせへの1次対応など、より高度な業務領域へと活用が広がっている。
生成AIの進化過程で目下注目を集めているのが、AIエージェント/エージェンティックAIだ(図1)。単にユーザーの指示に応答するアシスタントやコパイロットの役割を超え、自律的に目標を立て、計画を策定し、タスクを実行する能力に大きな期待が寄せられている。
図1:対話型AIからAIエージェントへ拡大画像表示
「来週の福岡出張の最適なフライトとホテルを予約し、訪問先への移動経路をカレンダーに登録しておいて」といった自然言語での指示に対し、AIエージェントは、自ら航空会社のサイトや予約システムにアクセスし、ユーザーの過去の嗜好(座席の好み、宿泊エリアなど)をデータから学習して、一連のタスクを自動で完結させる。
そして、AIエージェントは、個人の業務支援にとどまらず、企業の既存システム(ERP、CRM、SFAなど)と連携することで本領を発揮する。例えば、売上データを分析して需要を予測し、自動で発注処理を行ったり、顧客からのクレームメールをトリガーに、関連部署へのエスカレーションと対応履歴の記録を自律的に実行したりと、業務プロセスそのものを自動化・最適化する可能性を持つ。この自律性こそが、AIの業務活用を次のレベルへと押し上げる重要な要素となっている。
データがAIの能力を左右する
生成AIが企業のビジネスの中核に組み込まれるにつれ、その性能を左右する「データ」の重要性が高まっている。もとより、BI/アナリティクスツールを用いたデータの高度活用は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必須要素として、業種を問わず多くの企業が取り組まれ、データに基づき迅速かつ適切な意思決定を行うデータドリブン経営を多くの企業が指向している。
生成AIをはじめとするAIの本格活用期を迎えて、データマネジメントの重要性は増す一方である。「Garbage in, Garbage out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」というデータの原則は、AI時代においても普遍で、AIに不正確なデータや古い情報を与えれば、誤った回答や時代遅れの分析結果を生成し、ビジネスに損害を与えかねない。特に、生成AIが出力するもっともらしい嘘(ハルシネーション)の問題は、業務領域によっては深刻で、入力データの品質と信頼性がこれまで以上に厳しく問われることになる(図2)。
図2:“Garbage In, Garbage Out“は不変の原則拡大画像表示
●Next:RAGを有効に機能させる「前提条件」とは?
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