[事例ニュース]
LIXIL、営業フロントから基幹システムに至るトータルの性能をシステム横断で可視化
2026年3月30日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
トイレや窓などの住宅設備・建材を手がけるLIXILは、3万超のユーザーが利用する工務店・リフォーム店向け営業フロントシステム「CRASFL」に、システム性能監視ソフトウェア「New Relic」を導入した。複数システムが多段で連携する環境全体の性能を可視化し、問題の原因特定に要する時間を1年間で約200時間削減した。New Relicが2026年3月27日に発表した。
LIXILは、トイレや浴室、キッチンといった水まわり製品から、窓・ドア・インテリア・エクステリアなどの建材製品までを手がける住宅設備・建材の大手メーカーである。2011年に、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が事業を統合して誕生した。事業統合以降、基幹システムの刷新・統合と、オンプレミスからクラウドへの移行に取り組んできており、現在はSAP S/4HANAをGoogle Cloud上で稼働させるプロジェクトが最終段階を迎えている。
図1:工務店・リフォーム店向け営業フロントシステム「CRASFL」の構成(出典:New Relic)拡大画像表示
営業フロントシステムの中核を担うのが、工務店やリフォーム店向けに提供している「CRASFL(クラスフル)」である。建材製品の売上の約50%を取り扱い、3万を超えるユーザーが商品検索、見積依頼、発注、納期確認などの目的で日々活用している。CRASFLは、SAPフロントエンドやデータ連携ミドルウェアなどを含め、SAP S/4HANAによる販売管理・在庫管理システムと多段で連携しており、各システムにはそれぞれ運用を担当するエンジニアが存在している(図1)。
こうしたシステム構成の中、これまでは、ユーザー体験を損なう問題が発生した際に、フロントからバックエンドへと順にエスカレーションしながら、各システムの担当者がそれぞれ原因を探り問題を切り分けていく手順をとっていた。しかし、この方法では問題解決の迅速化に限界があった。例えば、CRASFLで受注した商品の納期回答でレスポンスが悪化した際に、遅延の発生したSAPのトランザクションを特定し、応答時間の内訳を出力してExcelで集計・分析していた。
こうした課題を解決するため、2020年にシステム性能監視ソフトウェア「New Relic」を導入した。アプリケーション、インフラ、ユーザー体験を横断的に観測し、障害やサービスレベルの低下、潜在的な問題・ボトルネックを可視化するソフトウェア製品群である。導入の狙いについて、デジタル部門で国内向けセールスフロントシステムを担当する徳田和貴氏は「サービス視点でプロセス全体を可視化し、インフラからアプリケーションまでフルスタックで性能のボトルネックを探れる。観測データを関係者全員が共有することで、問題解決に向けた意思決定とアクションを加速できると期待した」と説明する。
2025年3月には、バックエンドのSAPシステムにもNew Relicを適用した。SAP監視機能「New Relic Monitoring for SAP Solutions」により、SAPアプリケーション(ABAP、SAP HANA、SAP BTP、Java、SAPと連携するアプリケーション)によるプロセスとトランザクション全体をリアルタイムで可視化できるようにした。
LIXILでは現在、CRASFLの不具合をNew Relicが検知するとアラートを発報し、関係者のチャットに自動通知する仕組みを整備済みである。通知を受けた担当者はまず、New Relicのダッシュボードを参照し、問題の1次切り分けに必要な情報を取得する。レスポンス悪化の原因がリソース不足ならサーバーの増強を検討し、アプリケーション側の問題ならNew Relic APM(アプリケーション性能管理)を活用してコードレベルまで原因を深掘りし、開発チームと連携しながら解決にあたる。
New Relicの定量的な効果として、問題の原因特定に要していた時間を1年間でおよそ200時間削減する成果が出ている。また、CRASFLでのセッションエラーの原因がユーザーの操作に起因していることを突き止めるなど、インフラ視点の監視では困難だった不具合原因の特定と解決にも成果を上げてきたという。
組織面での変化も大きい。「アプリケーション開発者自身が『自分の書いたコードがどう動いているか』を把握できるようになった。New Relicの観測データが共通言語となり、システム担当者間の壁、アプリケーションとインフラの壁を越えた問題解決の迅速化が進んでいる。誰かが問題を把握したら即座に連携して対処する『自律的に行動するエンジニア組織』への変革を後押ししている」(徳田氏)と評価する。
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