[新製品・サービス]
不況下でも買ってもらえる製品を! 日本HPが災害対策向けのバックアップ機を発表
2009年3月5日(木)IT Leaders編集部
経済環境は厳しさを増す一方だが、そんな中でも地震など万一の災害に対する備え──ディザスタリカバリ-が不可欠であることは言うまでもない。そんな状況をにらみ、日本ヒューレット・パッカードは3月5日、低価格で導入しやすく、運用も容易なことを売り物にしたデータの遠隔バックアップ装置を発表した。
「D2D4112」、「VLS9000シリーズ」がそれで、いずれもディスク装置でテープ装置をエミュレートする、いわゆる仮想テープライブラリ製品。オンラインでバックアップすることにより物理的なテープのハンドリングや搬送を不要にできるため、運用コストを低減できる。またバックアップ・データの搬送に人手を介さないため、セキュリティ面でも有利なのがメリットだ。結果として、需要は順調に伸びているという。
今回発表した製品のうちD2D4112は、中小規模向けであるD2Dシリーズの最上位機種。9TB~18TBの容量を持つ。重複排除機能によりデータ量を最大で50分の1(HPの研究所調べ)にして格納するため、理論的には900TBのデータをバックアップできる計算になる。一方、VLS9000 シリーズはより大規模用用途向けだが、シングルノード7.5TBから、最大1280TBまで拡張できるのが特徴。つまりスモールスタートが可能だ。D2Dと同様、重複排除機能により、最大50倍のデータを保持できる。どちらの製品も低帯域レプリケーション、つまり10MB程度のインターネット回線をバックアップに使えるのも、売り物の一つだ。
日本HPは昨年、ローエンドのD2D100シリーズや同2500シリーズ、VLS6000シリーズや同12000シリーズを発売しており、今回の製品はこれらの間を埋める製品。これで仮想テープライブラリ装置のラインアップは出そろった。「データのバックアップはあくまで、災害対策のファーストステップ。その先にはリアルタイムのデータコピーやサーバーのクラスタリング、運用基盤の整備などが必要になる。米HP自身が実践してきたことを基に、最適なソリューションを提案していきたい」。
価格はD2D4112が483万円(税込)、VLS9000 が1134万円(同)から。稼働させるには、ほかに「低帯域レプリケーションライセンス」(336万円、同)などが必要になるため、システム構成価格は「ケースバイケースだが、数千万円の下の方」(日本HP)になる。ただし、これらの価格はあくまでリストプライス。液晶テレビをはじめとする多くのデジタル機器と同様に実勢価格は別で、日本HPの担当者も「リストプライスでも(他社製品に比べ)競争力はあるが、実際の商談ではさらに頑張る」と話す。
最近、ITベンダー各社から、費用対効果が分かりやすい、あるいは経済環境に関わらず導入を検討せざるを得ないタイプの製品やソリューションが登場している。実際、ディザスタリカバリに対しては、否応なしに準備をせざるを得ない。ユーザー企業としては、リストプライスに惑わされることなくきちんと交渉したうえで、最適な製品を選択すべきだろう。