[ユーザー事例]

IHIとディップがCRMソフトの移行に踏み切った理由

不況を乗り切るCRM Part2

2009年4月21日(火)IT Leaders編集部

CRMシステムは導入しただけで、効果が見込める類のシステムではない。「活用」が重要だ。「基幹系システムとは違って、リプレースは比較的容易」だけに、思うような効果が上がらないなら、CRMを思い切って別の製品に置き換えるのも1つの手だ。本稿では、総合重機メーカーのIHIと求人サイト運営のディップの事例を紹介する。

IHI
シーベルからSugerCRMに移行

総合重機メーカーのIHI(本社:東京都江東区)は2008年4月、主力事業の1つである原動機プラント事業部で、新CRMシステムを稼働させた。同事業部が扱うガスタービンの保守サービスを効率化するとともに、顧客満足度を高めるのが目的だ。

採用したのは、オープンソースのCRMソフト「SugarCRM」(図2-1)。すべての顧客企業ごとに、納入した装置の種類や構成情報、発生した不適合(不具合)情報、修理履歴、操作マニュアルなどを、これに蓄積する。一部の顧客に関しては、ガスタービンの温度変化など動作状況に関する情報も蓄積。定期メンテナンスの際、実施する作業内容の確認などに役立てている。

図2-1 IHIで現在稼働中のCRMシステムの概要

実は、IHIがCRMシステムを導入したのは、これが初めてではない。1998年に、米シーベル・システムズ(現在は米オラクル)製のCRMシステムを導入。事業部ごとに、別々に管理していた顧客情報データの一元化を進めてきた。しかし2006年、その作業をいったん休止している。情報システム部新事業推進グループの鈴木和彦主査は、その理由を「現実問題として、全事業部の顧客情報を、1つのデータベースで管理するのが難しかった」と語る。

IHIの製品はジェットエンジンやボイラーなど幅広い。製品が異なれば、メンテナンスに必要な情報の種類やきめ細かさにも違いが出てくる。「利用を拡大するにつれて、事業部によってCRMシステムに求める情報が違うことが明らかになっていった」(鈴木氏)。

そこでIHIは「全社共通の顧客情報管理」から「事業部ごとにかゆい所に手が届く顧客管理」へと、CRMシステムの大幅な見直しを決断。「2006年当時にあった製品の中では、比較的小規模からスタートしやすい」(鈴木氏)という理由で、SugarCRMを導入した。

新システムでは、かゆい所に手が届くような工夫を凝らしている。不適合情報を管理するシステムと、装置の動作状況を監視する遠隔監視システムから、自動で最新情報を収集するようにしたのが、一例だ。「担当者の手を煩わせることなく、必要な情報をそろえることで、便利に感じてもらえる。CRMシステムの利用も促進できる」(鈴木氏)。

IHIは今後もCRMシステムの使い勝手を向上させるために機能の強化を続ける。「当社のような会社にとって、保守やサービスは製品の研究開発や販売と並ぶ、中核業務の一つ。その意味でCRMシステムは重要だ。今年は画面に表示する項目の種類や内容、配置を見直すなど、システムの利便性をさらに高めたい」と、鈴木氏はいう。

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