富士通とシスコシステムズ(以下、シスコ)は2009年4月16日、両社の戦略的提携を、ユニファイド コミュニケーション(以下、UC)分野にまで拡大すると発表した。本提携の柱として、富士通とシスコシステムズ合同会社は、日本市場に向けたソリューションの開発、サービスの提供、およびプロモーションを共同で実施する。
UCとは、固定電話、モバイル端末、テレビ会議、Web会議、電子メール、ボイスメールなど、さまざまなコミュニケーションを統合し、シームレスな活用を実現するもの。PC上で連絡相手のプレゼンス(在席状態)を確認することも可能になり、相手の状況に応じた効率的なコミュニケーションを図り、遠隔での共同作業や意思決定を可能にする。さらに、業務アプリケーションと連携させることで、企業内のコミュニケーションや情報共有など、ワークスタイルの改革、業務プロセスの改善を実現できるようになる。
両社は、今回の戦略的な提携拡大により、シスコが持つUC分野での先進技術やビジネス経験と、富士通のICTビジネスの実績およびノウハウと製品開発力を融合し、あらゆる業種に向けて包括的なコラボレーションのソリューションを提供する。
今回の提携で具体化される内容は次のとおり。
- UC共同ソリューションの提供と共同プロモーションの実施
UC製品に関する共同プロモーションを実施。特に、顧客企業の従業員の生産性やコラボレーションを向上するソリューション、業務・業種アプリケーションと連携することで業務プロセスを改善するソリューションに注力する。具体的には、モバイル端末でメール確認やスケジュール確認を実現するモバイル連携ソリューションなどを提供。また、業務・業種アプリケーション連携の推進、各キャリアのIP電話サービスへの接続および既設テレフォニーネットワークからのマイグレーションソリューションなどの提供を行う。
- 包括的なUC製品の開発
両社の開発部門が直接連携して、製品ロードマップを共有しながら、日本市場に適合した製品開発を実施する。これにより、富士通はCisco Unified Communications Manager(以下 Unified CM、Cisco UC Systemの中核をなす呼処理コンポーネント)と連携する製品の新規開発を推進する。
第一弾として、日本国内のモバイル端末(スマートフォン、PHS)とUnified CMの接続を実現するアクセスユニット「VJ-110シリーズ」を開発し、同日より販売を開始した。また、顧客の既存CRMアプリケーション資産をそのままに、最新のコンタクトセンターを構築するため、Unified CMと連携させるミドルウェアを開発する(2009年5月中旬提供予定)。富士通では、すでにUnified CMが提供しているMicrosoft Exchange Server、Microsoft Office Communications Server、IBM Notes/Dominoとの連携に加え、富士通のグループウェアTeamWARE、さらに各種業務・業種アプリケーションとUnified CMとの連携を実現するソフトウェアを順次提供する予定である(2009年7月以降)。
- UCビジネス推進に向けた体制強化
両社は今回の連携体制強化で、顧客ニーズのソリューション組み込みと早期提供を実現し、導入後も安心して利用できる製品サポートなども提供する。さらに、富士通はSE技術者を中心に、今後1年間で300名のUC技術者を育成し国内最大規模の体制で顧客サポートの充実を図る。
また、富士通は顧客企業の初期投資コストの抑制や、企画・設計から運用管理まで、あらゆるフェーズでのサポートを実施する「ネットワーク-LCMサービス」を提供する。
両社は、ハイエンド ルータ向けOSであるIOS-XRの共同開発を始めとして、長年にわたりルータ、スイッチなどのネットワーク分野で戦略的な提携を結んできた。この提携のもとで今後、日本以外の地域においても、優れたリスク管理やコスト低減を提供し、顧客企業のビジネス成長を支援するとしている。
ユニファイド コミュニケーション
http://fenics.fujitsu.com/products/unified.html
シスコシステムズ
http://www.cisco.com/jp/index.shtml