F5ネットワークスジャパン(以下F5)、ヴイエムウェア、日本アイ・ビー・エム(以下日本IBM)の三社は2009年5月18日、x86サーバーによる仮想化環境において、火災や地震などの災害発生時のシステム切り替え機能を検証したと発表した。本機能を実現するシステムの構築は同日より、日本IBMならびに日本IBMのビジネス・パートナーから提供される。
従来の環境では、災害発生時などに本番サーバーからバックアップ・サーバーに切り替える際に、バックアップ・サイトのストレージの設定・起動、アプリケーションの起動など、約10項目にわたる複雑な作業が求められる。VMwareの仮想化環境により、複雑な設定作業の自動化が図られたが、それぞれのアプリケーションに設定されているIPアドレスなどのネットワークに関する各種環境設定は、多くの場合、手動による追加作業が必要だった。
今回構築および検証した災害対策のサーバー切り替え機能は、本番用とバックアップ用の2つのx86サーバーがネットワークで接続されているシステムにおいて、本番サーバーと同じ環境をバックアップ・サーバーに設定し、稼働させるもの。サーバー切り替え時のIPアドレスの変更を自動的に行い、切り替え後、バックアップ・サーバーの複雑な起動処理をすべて自動的に行うことで、災害発生時にもビジネスを短時間でスムーズに再開できるようにする。
本検証は、日本IBM箱崎事業所内「IBM System x 仮想化検証センター」内に設置したIBMのラック型x86サーバー「IBM System x 3850M2」に「VMware ESX」を導入し、「VMware vCenter Site Recovery Manager(以下、SRM)」とF5の「BIG-IP Global Traffic Manager(以下、BIG-IP GTM)」および「BIG-IP Local Traffic Manager(以下、BIG-IP LTM)」と連携したシステムを構築して行われた。仮想化されたサーバー上には、8つのアプリケーションを稼働させ、すべてのアプリケーションのバックアップ・サーバーへの切り替えを実現した。
SRMは、ストレージの認識や仮想マシンの起動順序設定といった仮想化環境における複雑な災害対策の手順を自動化し、実際の災害発生時に備えるためのシステム・テストも本番サーバーに影響を与えることなく、実施できる。「BIG-IP GTM」および「BIG-IP LTM」は、災害発生時にアプリケーションの稼働状況に基づき本番システムからバックアップ・システムに自動的に切り替える。また、各アプリケーションに設定されているIPアドレスを変更することなく、バーチャルIPを利用してユーザーへの透過的なアクセスを提供する。そして、「IBM System x3850M2」は、IBMが独自開発した第4世代のEnterprise X-Architectureチップ・セットを搭載した仮想化環境に最適なサーバーである。
本ソリューションの特長・利点は次のとおり。
- アプリケーションレベルでサイトの死活監視を行い、災害発生時に自動的なネットワークの切り替えを実現
- ユーザーに対しては透過的なアクセスを実現し、アクセス先の物理サイトが変わったことが認識されない仕組みを提供
- アプリケーションに設定されたIPアドレスの付け替え作業を不要にし、迅速なサイト切り替えと運用の簡素化を実現
今回の検証結果は以下のサイトで公開されている。
F5ネットワークス、ヴイエムウェア
http://www.f5networks.co.jp/vmware/