展示会やカンファレンスなどを、ネット上で実施する「バーチャルイベント」が、一気に花開きそうな状況になってきた。仮想空間に展示ブースや講演会場を設けるもので、参加者にとっては交通費の削減、出展者にとっては参加者の行動履歴の入手や提供する資料の充実、そして社会的にはCO2の削減といった利点があるからだ。
2009年12月7日に専門ベンチャーのストーリアワークス(玉木一郎社長)が米国のInXpoと、それに先立つ11月にはアイティメディアが米On24と、それぞれ提携を発表。日経BP社は米Unisfairのサービスを使って、12月にイベントを実施している。
このことから分かるようにバーチャルイベントは米国企業が先導。2005年頃からサービス提供が本格化し、2008年秋の金融危機以降は交通費の削減などがフォローの風になって、開催数が急増している。
大まかなイメージは一時流行した「セカンドライフ」に近いが、イベント開催に焦点を絞って、ブースなどの展示会場のひな形を用意したり、プレゼンテーション画面と講演者の画像を一画面に表示する機能や参加者と出展企業の担当者がチャットする機能を用意するなど、利便性を高めている。InXpoやOn24がサーバー環境を用意し、日本の代理店がイベント企画や運営、映像制作などの技術サポートを請け負うと考えればいい。比較的シンプルなテレビ会議やWebセミナーと異なり、数万人規模の参加者に同時にストリーミング映像を配信できる。
ストーリアワークスによると、「多数の出展企業がある大規模イベントのほか、大手企業の社内教育や代理店向け講習会などに使える。日本の中小製造業が自社の製品や技術を海外にアピールする手段としても有効。海外の展示会に出展するには費用も時間もかかるが、バーチャルイベントなら格安にできるからだ」(玉木社長)という。IT分野の展示会やイベントのみならず、機械や電子部品、医薬など様々な業種に広がる可能性もある。