[ユーザー会通信]
分科会活動実務から先端のITトレンドまで、活発な議論を展開─PCネットワークの管理・活用を考える会
2010年6月24日(木)IT Leaders編集部
ベンダー主催のユーザー会活動は一般的に、ユーザー企業同士の情報交換や研究、親睦などを目的としており、おおまかにいえばユーザーサポートの部類に入る。クオリティ(現クオリティソフト)の「PCネットワークの管理・活用を考える会」も同様にユーザー企業の情報収集や意見交換を目的としているが、同社では活動を「社会貢献」と位置づけている。
同会は1997年に設立された「同時使用ライセンスを推進する会」を前身とする。まだソフトウェアの企業ライセンス体系が確立していない当時、ユーザー企業約200社が参加し、企業内ライセンスの管理を推進するとともに、ソフトウェアベンダーに対して「同時使用ライセンス」の承認を訴えてきた。
同社のライセンス管理ツール「KeyServer」のユーザー会を経て、同時使用ライセンスの推進については役割を一旦終えたが、折角集まったのだから何かやろうという参加企業の声を受けて、2000年に「PCネットワークの管理・活用を考える会」と名称を変更。ITの管理、活用に関する分科会を活動の中心とし、現在に至る。
活動への参加は無料。「Quality Web Members」に登録すれば、クオリティの製品を利用していなくても、誰でも参加可能だ。こうした会の成り立ちや、製品の販売が目的ではなく、ユーザー企業の情報収集や意見交換の場の提供だけを行うという姿勢が、活動を「社会貢献」と位置づけさせる理由だ。
活動は大会と分科会に分かれる。大会は東京大阪それぞれで年1回開催し、近年ではのべ約500人が参加するという。
分科会活動は内容の充実に知恵を絞る。毎年7月にユーザー企業の中から選ばれた幹事会員の合宿により、その年度の分科会活動が決定される。
2009年度の分科会活動は6つ。トラブル事例を共有し、研究、議論を行う「IT問題解決分科会」、企業システムのリスク対応など、IT管理者の実務を研究する「システム部門実務分科会」、旬なキーワードを元にITの活用方法を研究する「IT活用分科会」、学内のPCを管理するための方策を研究する「大学向けライセンス管理分科会」の4つの研究会と、「クオリティ製品分科会」、「上海分科会」の計6つだ。
大学向けライセンス管理分科会と上海分科会以外の4つの分科会は東京と大阪で年に3、4回開催される。各分科会は、それぞれのテーマについて専門家の講演とディスカッション、懇親会といった構成となっていて、活発に議論が展開されている。
IT活用分科会は特に面白い活動だ。2009年度のテーマは「Windows 7」「iPhone」「仮想化製品」「統合オフィスソフト」と、ITトレンドにフォーカスした内容だ。「クラウド」についてはすでに2008年度に開催されている。毎年1歩先を行くテーマ設定で、分科会の中ではもっとも人気があるという。
さらに、上海に進出している同社では、2005年から現地でも分科会活動を開催。中国に進出している日本企業のIT管理についての情報共有と解決策の研究を行っている。
活動の告知や報告にはWebサイトのほか、Twitterやmixiのコミュニティなども利用。事務局からの発信だけでなく、会員同士のオンラインでのコミュニケーションにも力を入れている。
設立 | 1996年 |
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趣旨 | 情報システム管理者の情報収集、意見交換、会員相互の親睦 |
年会費 | 無料 |
主な参加企業 | リコー、富士フイルムコンピュータシステム、大成建設、シーズ・スリー |
URL | http://www.pcnw.gr.jp/ |
主な活動
- 分科会(IT問題解決、システム部門実務、IT活用、大学向けライセンス管理、クオリティ製品、上海)
- 大会(年1回、7月、東京、大阪)
- 各種情報提供(Webサイト、Twitterなど)
参加企業からのメッセージ
IT/S本部 IT/S技術センター サーバーグループ
シニアスペシャリスト
宮腰寿之氏
当会の設立当初から参加し、幹事会員として「IT活用分科会」の座長を務めています。旬なITキーワードを扱うということで人気の高い分科会ですが、テーマ選びだけでなく、参加してよかったと言ってもらえるような構成を考えるのにも毎年苦労しています。
2009年度は東京、大阪ともに多くの参加者が集まり、活発な議論が展開されました。おおむね活動としては成功したのではないかと思います。
PCネットワークの管理・活用を考える会は単なる情報共有ではなく、積極的に自らの経験や情報を交換する場です。これからももっと多くの方にご参加いただき、実務の助けになるような役立つ会にしていきます。
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