[ユーザー会通信]

安心して使えるオープンソースを目指して、世界に先駆け日本でユーザー会を発足─レッドハットエンタープライズユーザー会(REUG)

ユーザー会通信 第20回 レッドハット

2010年10月27日(水)IT Leaders編集部

近年、コスト削減への要求から、企業のITシステムにおいてオープンソースソフトウェア(OSS)の利用が拡大している。安定性や可用性、技術者不足などの問題が指摘されながらも、導入事例はすでにミッションクリティカルな金融関連の領域にまで及んでいる。代表的なところでは、2010年1月に稼働した東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」も、その基本ソフトウェア(OS)に「Red Hat Enterprise Linux」を採用している。

レッドハットのRed Hat Enterprise LinuxはOSSではあるが、「ソフトウェアのライセンスは無料で、サポートは有料」というモデルで提供されている。他のLinuxディストリビューションとは異なり、営業やサポートを通じてユーザー企業からの声を聞く機会も多い。

そうしたユーザー企業からの声で圧倒的に多かったのが、「具体的な導入、活用事例を知りたい」という要望だ。その声を受け、2009年5月、「レッドハットエンタープライズユーザー会(以下、REUG)」が設立された。

設立時には31社でスタートし、2010年8月現在では53社のユーザー企業が参加。メンバーはCIOや役員クラスも多く、企業のさまざまなIT課題をOSSを活用して解決したいという、明確な目的を持ったユーザーが多いのがREUGの特徴だ。他のOSS系ユーザー会が現場の技術者中心で構成されているのとは趣を大きく異にしている。

会費は無料。すでにレッドハット製品を利用している、もしくはこれから利用しようとしているユーザー企業であることが入会の条件となっている。

主な活動は活用事例の紹介を中心とした分科会だ。設立1年ほどだが、すでに4回の分科会が開催され、2010年7月の第4回分科会には38社の会員企業が参加。国内のOSSミドルウェアの活用事例や、海外の最新動向などが紹介された。

これまでの分科会で取り上げられたテーマとしては、Linuxデスクトップ、データベース、仮想化、クラウドコンピューティングなど。ビジネスにおけるOSS導入の旬となっている分野から多くの事例紹介やパネル討論会などが実施され、活発なディスカッションが展開されたという。

分科会は年4回程度の実施を目標に、参加企業の声を集めながら、有益な情報と議論の場を提供していく。

もう1つのREUGの活動が、ユーザーの声を米国のレッドハット本社に届けることだ。レッドハットは米国の他にも欧州、アジア太平洋地区など世界各地に支社を持ち、その製品は世界に広がっているものの、実はユーザー会組織は日本のREUGが世界初だ。

すでに本社役員が来日した際には、会員企業からの声を取りまとめて届けたり、本国の製品責任者が分科会に出席して交流を行うなどといった活動を行っている。

今後は会員企業を増やしていくとともに、安心感を持ってOSSを活用してもらえるような情報と議論、異業種交流の場の提供を行い、さらにOSS活用の進む欧米に追いつくよう、海外視察なども積極的に検討していきたいという。

レッドハットエンタープライズユーザー会 概要
設立 2009年5月
趣旨 会員相互の情報・意見交換、技術交流、親睦
会員数 53社(2010年8月現在)
年会費 無料
主な参加企業 大和総研、日本電信電話、パナソニック
URL http://www.jp.redhat.com/reug/

主な活動

  • 年次総会(年1回開催)
  • 分科会(年3〜4回程度の開催)、懇談会
  • 各種情報提供(会員用Webサイトなど)

会長からのメッセージ

鈴木孝一氏 大和総研 専務執行役員
鈴木孝一氏

コスト削減、IT機器の利用効率向上などが求められる中、これから必要なのは、ただ与えられたものを使うというのではなく、共に育てていくことです。

REUGは、OSSの活用事例や問題点を共有し、前向きに議論し、ユーザーの思いやニーズをレッドハットに伝え、より有効にITを利用できるよう、共に製品を育てていきます。

活動はレッドハット製品だけにとどまらず、オープンソース化、ITの標準化の推進を通じて、日本企業のITの弱点を補うような流れに繋げていきたいと考えています。とくに、今のITのあり方に疑問を持っている人には是非集まってもらいたいと思います。

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安心して使えるオープンソースを目指して、世界に先駆け日本でユーザー会を発足─レッドハットエンタープライズユーザー会(REUG)近年、コスト削減への要求から、企業のITシステムにおいてオープンソースソフトウェア(OSS)の利用が拡大している。安定性や可用性、技術者不足などの問題が指摘されながらも、導入事例はすでにミッションクリティカルな金融関連の領域にまで及んでいる。代表的なところでは、2010年1月に稼働した東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」も、その基本ソフトウェア(OS)に「Red Hat Enterprise Linux」を採用している。

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