[ユーザー会通信]
SharePointの有効活用を追求するベンダー色のないユーザー会、生産性向上の知恵絞る─ビジネス・プロダクティビティ研究会
2010年3月26日(金)IT Leaders編集部
「とにかく他社の事例を知りたい」。情報共有、ナレッジマネジメント関連のITサービスやコンサルティングを提供するリアルコム。ここ数年、マイクロソフトの情報共有ソフト「SharePoint Server」の導入やコンサルティング案件が増えてきた中で、顧客の多くが、他社の導入、活用事例を知りたがったという。
背景には情報共有、特にコラボレーションがなかなか活発化しないという共通の悩みがあった。グループウェアを導入したはいいが、最大限にその効果を発揮するには、利用する社員の意識とコラボレーションを盛り上げるための工夫が欠かせない。
多くのユーザー企業がSharePointの活用に頭を痛めている現状を受けて、「ならばいっそ、ユーザー企業同士で話してもらえばいいのではないか」(同社執行役員 村田聡一郎氏・談)というのが、「ビジネス・プロダクティビティ研究会」(以下、BP研)設立への動きの始まりだ。
設立への具体的な動きは1年ほど前から。マイクロソフトとも協議を重ねたが、マイクロソフトは会の運営には直接関わらず、会の支援とユーザーへの勧奨を行うこととなった。
当コラムがこれまで取り上げてきたユーザー会は、自社の製品やサービスのユーザー企業を対象にするものが主流だ。ユーザーの声を直接聞いて製品に反映することや、ユーザーに対するサポート的な意味合いが強い。SharePointはマイクロソフトの製品であり、リアルコムは取り扱ってはいるが直接のベンダーではない点がBP研のユニークなところ。「SharePointユーザーであること」が会員としての参加資格で、リアルコムの顧客である必要はない。
それはBP研の目的があくまでも業務生産性の向上であり、製品の話をすることではないという理由からだ。また多くのユーザーの悩みはSharePointの機能面ではなく活用の部分にある。SharePointユーザー会と名乗らないのはそうした理由からだ。
昨年10月のBP研設立とともに行われた最初の例会には19社から28名が参加。リアルコムと取引のない企業も多数参加したという。
主な活動となる「ベンチマーキングスタディ発表会」は年4回、SharePointの活用、使いこなしに関するテーマを毎回設定、事例研究や情報交換を行う。第1回は2009年12月に開催され、「情報アクセス最適化」をテーマに30社47名のユーザーが参加。活発なディスカッションが展開された。同発表会は今年1月に大阪でも開催され、11社18名のユーザーを集めた。
3月には第2回として「SharePointのサイト管理/運用管理」のテーマで開催される。BP研では、幅広い用途、目的、レイヤーに分かれるSharePointをフレームワークで整理し、研究テーマ候補を分類。ユーザーが自社の課題とあったテーマに出席しやすいよう、テーマに基づいて発表会を開催していく。
今後は発表会を軌道に乗せるとともに、ユーザーの課題に深く切り込んだ形の分科会設立も視野に入れている。また海外視察や1dayコンサルティングサービスの実施なども考えているという。
設立 | 2009年10月 |
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趣旨 | SharePointの使いこなしに関する事例研究と情報交換 |
会員数 | 37社(2010年2月現在) |
年会費 | 正会員30万円、準会員4万円 |
主な参加企業 | ローソン、サッポロビール、マツダ、富士通ネットワークソリューションズ |
URL | http://bpcenter.jp/ http://www.realcom.co.jp/services/bpc.html |
主な活動
- 例会(ベンチマーキングスタディ発表会、年4回)
- SharePoint利用状況診断(正会員のみ)
- 各種情報提供(会報誌「Vision」、Webサイト等)
参加企業からのメッセージ
日本企業を取り巻く環境は大変厳しい状況にあり、IT投資も効果(IT-ROI)を求められています。厳しい情勢の中だからこそ、経営や現場の様々な課題を解決するには、ITの有効活用が至上命題です。
そのためには、実際に使っているユーザー企業同士が情報交換を図り、それぞれの悩みを打ち明け、より良い使い方を創り上げて、育てていくことが大切です。ITによる業務と経営の変革に継続的に取り組んでいくための情報を交換し、業種が違うからこそ刺激や新たな着眼点も生まれます。
BP研究会は、「人」と「人」の繋がりが、効果を「生み出す場」です。参加者として、一緒に盛り上げていきたいと思います。
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