ベル・データは2010年8月19日、重複排除/データ圧縮の処理性能をハードウエア・アクセラレータを使って高めたストレージ「BridgeSTOR」シリーズの低価格版2機種を出荷した。機能をデータ圧縮に限ったNAS「BridgeSTOR EX」と、バックアップ専用用途としたNAS「BridgeSTOR BU」である。価格はいずれも230万円(税別)。フル機能の従来機種と比べて3分の2以下の価格になる。
ベル・データが今回提供を開始した2製品は、BridgeSTORシリーズのうち、機能を限定した低価格版に相当する。具体的には、2機種とも、ストレージのプロトコルをNAS(CIFS/NFS、HTTP/FTP)に限定しており、SAN(iSCSIなど)は使えない。個別に見ると、BridgeSTOR EXは、機能をデータ圧縮に限定し、重複排除機能を備えない。BridgeSTOR BUは、重複排除とデータ圧縮機能を兼ね備えるが、バックアップ専用となる。
今回の2機種を含むBridgeSTORシリーズの最大の特徴は、ハードウエア・アクセラレータを用いて、重複排除とデータ圧縮の処理性能を高めた点である。PCサーバーとWindows Storage Server 2008で構成するアプライアンス機に、アクセラレータ・カードとして、米Exarの「BitWackr」を搭載する。同カードは、Windows Serverからのローカル・ストレージ利用に対して、重複排除のハッシュ演算とデータ圧縮演算機能を提供する。
重複排除の単位はボリュームで、重複を判断する範囲はブロック(NTFSのクラスタ)である。ハッシュ値(ハッシュ関数はSHA-1)が合致するか否かで重複を判断する。一方,データ圧縮の単位はブロックで、圧縮アルゴリズムはLempel-Ziv-Stac(LZS)である。両機能を使った場合、まずはブロック単位でデータの重複を判断し、重複していないブロックに関してLZS圧縮をかけて保存する。
新製品2機種の主な仕様は以下の通り。ベースとなるPCサーバー機は「IBM System x3620 M3」(高さ2U、2CPU)。OSはWindows Storage Server 2008。ディスクは、筐体に3.5インチ・ディスク×8基を搭載可能で、RAID 6構成で容量は最大12TB。
フル機能版の後継機を開発中
BridgeSTORシリーズには、NASに加えてSAN(iSCSI)のプロトコルを利用可能なフル機能版「BridgeSTOR」(2009年11月出荷、価格は税別360万円)が存在する。現在では販売を停止しており、アクセラレータを刷新した後継機を開発中である。
現行機種は、今回の2機種と「BridgeSTOR Lite」(2010年6月出荷、税別230万円から)の3機種である。同機種は、重複排除機能とデータ圧縮機能を兼ね備えた汎用NASストレージであり、機能面では今回の新機種2製品の上位に位置する。ストレージ容量に応じて2モデルを用意している(ディスク容量4TBが税別230万円、6TBが税別250万円)。
製品ラインアップからiSCSI対応のフル機能版をいったん外した理由は、プライマリ・ストレージ用途としてNASに加えてiSCSIを使おうとすると、2010年現在では、既存のアクセラレータでは性能が低いというもの。
今回発表した廉価版の新機種は、用途をNASに限定したアクセラレータの新製品を搭載した。現在、NAS/iSCSI兼用のアクセラレータの新製品を開発中であり、このアクセラレータを搭載したかたちで、フル機能版BridgeSTORの後継機を市場に投入する考えである。