日本IBMは2011年2月17日、メインフレームのXML処理を高速化する機能拡張ユニット「DataPower XI50z」を発表した。SOA(サービス指向アーキテクチャ)システムにおいて、Webアプリケーション・サーバーからXML処理負荷をオフロードする。2011年3月18日に出荷する。拡張ユニット単体での価格は非公開。
製品名称は「IBM WebSphere DataPower Integration Appliance XI50 for zEnterprise」(DataPower XI50z)。既存製品でラックマウント型のアプライアンス「DataPower XI50」を、メインフレーム「zEnterprise 196」専用の拡張ユニットの形状で提供する。これにより、zEnterpriseの管理コンソールから一元管理できるようになる。機能はDataPower XI50と同等。
DataPower XI50zの機能は、XML処理アクセラレータ。SOA環境において、XSLTを用いてXMLデータを別のXMLデータに変換する処理を、Webアプリケーション・サーバーからオフロードする。背景について同社は、同等の処理をWebアプリケーション・サーバー上で動作させると、Webアプリケーション・サーバーのトランザクション処理性能が大きく下がってしまうことを挙げている。
DataPowerとWebアプリケーション・サーバーとの通信手段はIPネットワークであり、これは、拡張ユニットの形状になっても変わらない。XML処理のオフロード方法には、アプリケーション・プログラムからJAXP(Java API for XML Processing)経由で解析用のXMLデータを受け渡すコプロセッサ的な使い方のほか、Webサービスを中継するプロキシとして、フロントエンドでXSLT変換処理を実行させる使い方がある。
今回のDataPower XI50zは、zEnterprise向けの拡張ユニットとしては第2弾になる。クエリーの最適化によってDWH処理を高速化するアクセラレータ「IBM Smart Analytics Optimizer for DB2 for z/OS」(2010年に提供開始)に次ぐ製品となる。今後も、需要が高い機能から順次、メインフレームの機能拡張ユニットとして、各種のアプライアンスを統合していく意向。
なお、今回のDataPower XI50は、米IBMが2005年に買収した米DataPower Technologyの製品ラインである。