情報システム部門の技能継承の実情 情報システム部門において、ベテランから若手への技能継承の必要性が声高に指摘されるようになって久しい。 いったいどの程度まで技能継承が進み、“空洞化”に起因する問題の発生を防げる状況にあるのだろうか。 みずほ情報総研は技能継承の実情と潜在的に抱えているリスク、発生し得る問題を明らかにすべく調査を実施した。 本稿では、結果から見えてきたスキルや能力のバラツキの実態と、今後のプロジェクトにもたらす影響を紹介する。 ※本記事はみずほ情報総研発行の「みずほ情報総研レポート」2012年4月号の記事を一部編集して掲載しています。
人材の育成や技能・ノウハウの継承は、どのような組織であっても関心が高いテーマの1つ。言い換えれば、簡単な解決法がない課題である。本業については人を育てる仕組みが根付いている組織であっても、高度な知識が求められる一方で変化が早いITの領域では、技能継承にさまざまな悩みを抱えているところが多いのではないだろうか。
企業の情報システム部門においては、熟練者(ベテラン)の持つ知識や技能の属人化が散見される。若手のスタッフが新しい技術の習得を積極的に進めていても、蓄積されたベテランの知見に欠けるがために、システム開発の予算超過や稼働後のトラブル増加などを引き起こすケースもある。
こうした背景を踏まえて、みずほ情報総研経営・ITコンサルティング部はアンケート調査を実施した。情報システム部門の技能継承に関する実態を把握すると共に、それがどのような問題に結びついているのかを明らかにするのが狙いである。
調査形式は郵送でのアンケートとし、上場企業のIT部門の部長級の方々を中心に回答いただいた。調査の実施時期は2011年の11月。アンケート票送付対象企業は1594社で、387社の有効回答を得た。有効回答率は24.3%である。
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