[技術解説]

CloudStack、OpenStack、Eucalyptus……、今さら聞けないクラウドOSの仕組み

仮想化の最前線を追う

2012年11月29日(木)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

クラウドの構築/運用を支援、機能拡充進めるOSSが台頭──。サーバーやストレージなどのリソースを集中管理し、 迅速にこれらを利用可能にするクラウドOSへの関心が高まっている。 オープンソースを中心に製品が出揃うが、 具体的にどのような機能を備えているのか。主要3製品の特徴をまとめた。折川 忠弘(編集部)

ハイパーバイザー(仮想化ソフト)を使ったとしても、簡単に仮想マシンを調達できるようになるわけではない。だができることなら、例えばweb画面から「プロセサ0.5個分、メモリー2GB、ストレージ500GB」などとメニューを選択し、即座に仮想マシンを立ち上げたい−。こんなニーズを具現化するのが、「クラウドOS」と呼ばれるソフトウェアである。

クラウドOSはハイパーバイザーと連携し、プロセサやメモリー、ストレージ、ネットワーク環境などを、簡単な操作で調達できるようにする。名前の通り、クラウドの先駆者であるアマゾン ウェブ サービス(AWS)ライクなIaaSを提供したいクラウド事業者向けのソフトだ。

しかし当然、企業がプライベートクラウドを構築する際にも利用できるし、利用すればメリットも生まれる。外部のクラウド事業者と同じクラウドOSを使ってプライベートクラウドを構築すれば、自社のシステム資源が不足した場合に、外部のクラウド事業者のそれを利用しやすくなるのがその代表例だ。いわゆる“ハイブリッドクラウド”を構築できるようになる。

以下では代表的なクラウドOSである「CloudStack」「OpenStack」「Eucalyptus」を概説する。各ソフトの構成要素を表4-1〜4-3にまとめた。サーバーやストレージのリソースを仮想マシンにどの程度割り当てるのかといった機能や、仮想マシンのイメージを管理する機能はどのソフトも備えており、大きな機能差はない。いずれもオープンソースソフトとして入手できる(有償版もある)。一方、IaaSを構築/運用するのに必要な機能をすべて網羅しているわけではない。例えば課金やヘルプデスクなどは現状備えていない。必要なら独自に開発したり該当する機能を備えたソフトを調達する必要がある。

OpenStackの管理画面
図4-1 OpenStackの管理画面。管理者用とユーザーが操作するセルフポータル用がある
Management Server 全体を管理する中核機能。仮想マシンの起動やポリシーの適用、イベントなどを管理する
Computing Node 仮想マシンが起動するノード。Management Serverによって起動/終了を実行する
Primary
Storage
ブロックデータを保存するストレージ。仮想マシンのデータ保存先として利用する
Secondary
Storage
仮想マシン用のテンプレートやISOイメージ、スナップショットを格納するためのストレージ
Management Server 管理機能を備えるサーバーとして仮想マシンやポリシー、イベントなどを管理する
Cluster 複数のComputing NodeやPrimary Storageで構成する
Pod 複数のClusterで構成する
Zone Management Server、Secondary Storage、Podなどで構成する
表4-1 CloudStackの構成要素
Compute 全体を管理する機能を備える。仮想マシンの起動/終了、VLANの制御などを司る
Object Storage 大容量データを保存するのに適したオブジェクトストレージ
Block Storage ブロックデータを保存するストレージ。仮想マシンが利用するディスクとなる
Image Service 仮想マシンやOSのイメージを管理する
Networking 仮想化したネットワーク機器を管理する
Dashboard Computeなどを操作する際に用いるユーザーインタフェース
Identity 認証機能を司る。ComputeやObject Storageなどへのログインを集中管理する
表4-2 OpenStackの構成要素
Cloud Controller リソースを集中管理する中核機能。Webを用いた管理画面やAPIを用意する
Node Controller 仮想マシンを管理する。仮想マシンの起動や停止を実施する
Storage Controller ブロックデータを保存するストレージ。仮想マシンが利用するディスクとなる
Walrus(ObjectStorage) 仮想マシンのイメージを格納する
Cluster Controller 仮想マシンと通信するためのネットワークを管理する
表4-3 Eucalyptusの構成要素
この記事の続きをお読みいただくには、
会員登録(無料)が必要です
  • 1
  • 2
関連キーワード

OpenStack / CloudStack / Eucalyptus

関連記事

トピックス

[Sponsored]

CloudStack、OpenStack、Eucalyptus……、今さら聞けないクラウドOSの仕組みクラウドの構築/運用を支援、機能拡充進めるOSSが台頭──。サーバーやストレージなどのリソースを集中管理し、 迅速にこれらを利用可能にするクラウドOSへの関心が高まっている。 オープンソースを中心に製品が出揃うが、 具体的にどのような機能を備えているのか。主要3製品の特徴をまとめた。折川 忠弘(編集部)

PAGE TOP