2013年2月26日(米国時間)、米国EMCのRSA部門がホスト役を務める情報セキュリティの総合カンファレンス「RSA Conference 2013」が開幕した(会場:米国サンフランシスコ・モスコーニ・センター/会期:3月1日まで)。 開幕基調講演のステージに立ったRSA部門会長のアート・コビエロ氏は、深刻化するサイバー攻撃への対策アプローチとして、RSAが提唱するインテリジェンス駆動型セキュリティ・モデルの有用性をあらためて強調した。(ITジャーナリスト/IT Leaders 編集委員 河原 潤=サンフランシスコ)
RSAコビエロ会長、「深刻化するサイバー攻撃に我々は負けたわけでもない」
毎年、情報セキュリティ分野のエキスパートが世界各国から参集するRSA Conference。26日午前8時、モスコーニ・センターの基調講演ホールにはクイーンの『We Are The Champions』の勇壮なメロディーが鳴り響いた。「この会議に集う我々は“信頼されたデジタル世界”の勝者である」というコビエロ氏の思いを込めた演出で、今年のカンファレンスが幕を開けた。
セキュリティ・エキスパート達を讃える曲として、クイーンの名曲『We Are The Champions』をコピーバンドが熱演
1年前の基調講演でコビエロ氏は、政府や民間企業を襲うサイバー攻撃の脅威について警鐘を鳴らし、対処のためのテクノロジーや方法論を説いた。周知のように、2012年は1年を通じてサイバー攻撃被害の報道が後を絶たなかった。
今年に入ってもニューヨーク・タイムズやフェイスブック、アップル、マイクロソフトといった名だたる企業が被害を報告し、また、米国政府が「サイバー真珠湾」と称して物議を醸すなど、事態はますます深刻化、混迷化している。APT(Advanced Persistent Threat)と呼ばれる最新の標的型攻撃に対しては、情報セキュリティのエキスパートたちの頭脳を結集したとしても勝ち目はないのだろうか。
「結果として我々は勝てていない。だが、負けたわけでもない。我々にはまだなすべきことがある」とコビエロ氏は語り、問題解決の有用なアプローチとしてビッグデータ分析を挙げた。
来場者に向かって、インテリジェンス駆動型セキュリティへの移行を訴える米国EMC RSA部門会長のアート・コビエロ氏
コビエロ氏は、ありとあらゆるものがインターネットにつながり、ビジネスや社会を変革していくという有名な“Internet of Things”の概念を引用しながら、「我々の身の回りにあふれるビッグデータは、サイバー攻撃者が狙う攻撃対象領域を予測のつかない方向に拡大させている」と、まずはビッグデータの負の面について言及。
そのうえで、人間社会をよりよくするためのテクノロジーとしてビッグデータ分析を活用するべきだと主張し、「膨大かつ多様なデータの分析によって、隠れたパターンや予期しない相関関係、常識の外にある接続などを発見する能力に着目している」と述べた。
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