富士通はクラウドに関する製品やサービスの体系化に乗り出した。その一環として2013年5月14日、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)4種、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)2種、インテグレーションサービス4種の計10のメニューを発表した。
クラウド群を体系化した理由をマーケティング部門副部門長 執行役員常務 川妻庸男氏は、「企業がシステム構築を検討する際、オンプレミスではなくクラウドを優先して考える時代になった。顧客ごとに最適な選択肢を提供できる体制を整え、企業のクラウド移行を牽引したい」と説明した。
注目は「FUJITSU Cloud PaaS RunMyProcess」と呼ぶPaaSである。約1800のコネクタを用意し、他のパブリッククラウドや自社で構築したプライベートクラウドなどとの連携を容易にする。同社が2013年4月に買収した仏RunMyProcess社の技術を使っている。
「主要なクラウドを組み合わせたシステムを構築できる。クラウドを使ったシステム構築の期間を従来に比べて5分の1に縮められる」(サービスプラットフォーム部門 クラウド事業本部 本部長 岡田昭広氏)。2013年第2四半期より提供を開始する。
SaaSの構築に必要なID管理や課金、マーケットプレイスなどの機能を備える「FUJITSU Cloud PaaS Cloud Service Enabler」、モバイルの活用を想定したPaaSなどの提供も予定する。
IaaSは、「FUJITSU Cloud IaaS Trusted Public S5専用サービス」というパブリッククラウドを用意。物理サーバーやストレージ、ネットワーク機器を顧客専用に提供する。ハードウェアのリソースを占有できることから、他ユーザーが使用するシステムの負荷増大などによる影響を排除し、データ漏えいのリスクも低減する。個人情報を扱うことの多い医療機関や行政機関などの利用を想定する。
顧客の要件を満たす環境を富士通のデータセンター内に構築するプライベートクラウド「FUJITSU Cloud IaaS Private Hosted」も、2013年7月より提供を開始する。
クラウドの導入を支援するインテグレーションサービスもメニューとして揃える。技術や製品動向に精通する100人の専門家と、2000人のインテグレータで構成し、最適なクラウドの組み合わせやシステムの企画、設計などに携わる。「提案から導入、稼働までを最短2週間で実施する」(岡田氏)。
同社は2013年度に国内クラウド事業で3000億円の売り上げを目標にする。