新時代のオンライン講義プラットフォーム「MOOC（Massive Open Online Course」の存在は知っているが、まだ体験したことがないという読者も少なくないだろう。そんな読者の背中を、編集部から押させていただくのが「ITリーダーに贈るMOOCガイド」の趣旨だ。今回は、3大MOOCプラットフォームの1つである「edX」の概要と必聴のオススメ講義を紹介しよう。 (1)Udacity編｜(2)Coursera編
edXでITリーダー必聴の講座はこれだ！
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「Software as a Service」 |
UCバークレー校と言えば、MITやカーネギーメロン大、スタンフォード大などと並ぶ米国有数の「理系学部の強い大学」の1校だ。年輩の読者の中には、校名を聞いて真っ先に「Berkeley UNIX（BSD）」の名前を思い出される方も少なくないだろう。そのUCバークレー校がedXを使って提供している講義の1つがこの「SaaS入門コース」である。
テーマはSaaS、しかも入門コースということで、特にIT部門に所属し実務にあたる方にとっては、「何をいまさら」という部分もある程度含まれてくる。とはいえ、この受講を通じて、新しい知識の獲得だけでなく、自身が日頃の業務で活用しているテクノロジーが「どの程度のレベルにあるか」といったことが改めてわかるというメリットにも十分期待できよう。
講義の内容についてもう少し見ていこう。「Ruby on Railsを使ったアジャイルな開発手法で、長持ちするSaaS（のシステム）を開発するために基礎を学ぶ」とあり、基礎的なプログラミング技法を理解した上で、それをSaaSアプリケーションの設計、開発、テスト、そしてパブリッククラウド上での実装に適用することまでを行うことになる。
受講にあたっては、「Java、C#、C++、PythonもしくはRubyといったオブジェクト指向のプログラミング言語に明るいことが必須」とあり、Q&Aの中には「コース開始の2週間前までに、 授業で使う仮想マシンのイメージを（講師陣が）用意する｡それをダウンロードして、x86ベースのPCでVirtualBoxを使って動かすか、もしくはAmazon Elastic Compute Cloud上で実装する（後略）」などとある。そもそも、「この講義はプログラミングがはじめてという人には適したものではない」旨の注意書きもある。これらの説明から、ソフトウェアプログラマーやITエンジニアに向けてかなり実践的な講義が行われることが想像できる。
UCバークレー校ではこのSaaS入門コースを、「CS169.1x」とそれに続く「CS169.2x」として1学期内（5週間）で教えている。授業の形式については、講義の模様を収録したムービー（8～12分程度に区切ったもので、講師の話を文字に起こしたテキストも提供される）が中心となり、他にプログラミングの課題なども出されるようだ。
受講費用は無料で、別途提供される教科書も、Kindle版であれば10ドルで入手が可能だ。また受講修了者は希望すれば修了証明書（ID Verified Certificates of Achievement）がもらえる。なお後編にあたるCS169.2xの講義では、プログラミングチームの編成や、デザインパターンについての導入なども教えているという（ただし、現在は登録受付が締め切られている）。
出典
※1Take Harvard, MIT Classes for Free
http://www.bloomberg.com/video/take-harvard-mit-classes-for-free-YiJyScbQSnWKrgMDpvAgIg.html
筆者プロフィール
三国大洋
ジャーナリスト／編集者。シリコンバレー、ハリウッド、ニューヨーク、ワシントンなどの話題を中心に世界のトピック＆トレンドを追う。「三国大洋のスク ラップブック」（ZDNet Japan）、「三国大洋の箸休め」（@IT）、「世界エンタメ経済学」（マイナビニュース）など連載多数。
