新時代のオンライン講義プラットフォーム「MOOC（Massive Open Online Course」の存在は知っているが、まだ体験したことがないという読者も少なくないだろう。そんな読者の背中を、編集部から押させていただくのが「ITリーダーに贈るMOOCガイド」の趣旨だ。今回は、3大MOOCプラットフォームの1つである「Coursera」の概要と必聴のオススメ講義を紹介しよう。 (1)Udacity編｜(3)edX編
Coursera―登録学生1700万人超の大規模MOOCに東大も参加
［MOOC Platform Profile］Coursera www.coursera.org  ●開設時期：2012年4月 ●設立者・運営組織：米スタンフォード大学のダフィネ・コラー氏ら。後に運営会社コーセラを設立 ●主な参加大学：スタンフォード大学、米プリンストン大学、米デューク大学など。東京大学も2013年秋から参加 |
米スタンフォード大学の人工知能研究者2人が設立
「Coursera（コーセラ）」は2012年4月、米スタンフォード大学の人工知能の研究者2人によって立ち上げられた。2013年9月の時点で世界中から80校を超える大学が参加もしくは利用する大規模MOOCプラットフォームである。登録学生数は延べ1700万人、学生の出身地域は190カ国に上る。
共同創業者の1人、ダフィネ・コラー（Daphne Koller）氏は、マッカーサー財団の「ジーニアス・アワード（天才賞）」 受賞者。もう1人のアンドリュー・ウング（Andrew Ng）氏は、米グーグルで「ディープラーニング」を研究していたことでも知られる女性研究者だ。2012年に、「Google Xで、YouTubeにある大量の猫の映像をマシンにみせて、猫が映った場面を自動認識できるようにした」という話が話題になっていたが、この研究を率いていたのがウング氏である。※1・2）
Courseraも、Udacityと同じく、運営母体は有力ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から投資を受けた営利企業だ。クライナー・パーキンス（KPCB）を率いるジョン・ドゥーア（John Doerr）氏や、ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ（NEA）のスコット・サンデル（Scott Sandell）氏が出資者（Funders）としてサポートする。
ドゥーア氏は、グーグルや、アマゾン・ドットコム、ネットスケープ・コミュニケーションズなどの立ち上げを支援した投資家である。ちなみに、故スティーブ・ジョブズ氏やエリック・シュミット氏、ジョン・チェンバース氏、マーク・ザッカーバーグ氏といったシリコンバレーを代表する経営者が顔を揃えた「オバマ大統領との夕食会」はドゥーア氏の自宅で開かれたものだった。一方のサンデル氏は、フュージョンIO、セールスフォース・ドットコム、ワークデイなどに投資している。彼らのほか、アドバイザとして、プリンストン大学、スタンフォード大学、デューク大学、ミシガン大学、ペンシルベニア大学、ジョージア工科大学などの幹部が名を連ねている（※3）。
Courseraにおいて、各大学が主体となって提供するコース数は約450あり、人文系から自然科学系まで多岐にわたる（※4）。受講はいずれも無料だ。全体の9割ほどが英語で行われる授業だが、中国語やフランス語など他言語で行われる講義もある。2013年秋からMOOCの授業を開始した東京大学もCourseraのプラットフォームを利用している（※5、動画）。
Webサイトのコース紹介ページには講義のサムネールがたくさん並ぶ。それでも、開始時期や分野・言語別の絞り込みが容易なつくりになっているのもCourseraの特徴だ。比較的簡単に興味をひく講座を見つけ出せるだろう（※5）。
