ITリーダーに贈るMOOCキャンパスガイド(2)―Coursera

2013年10月29日(火)三国大洋

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新時代のオンライン講義プラットフォーム「MOOC（Massive Open Online Course」の存在は知っているが、まだ体験したことがないという読者も少なくないだろう。そんな読者の背中を、編集部から押させていただくのが「ITリーダーに贈るMOOCガイド」の趣旨だ。今回は、3大MOOCプラットフォームの1つである「Coursera」の概要と必聴のオススメ講義を紹介しよう。 (1)Udacity編｜(3)edX編

CourseraでITリーダー必聴の講座はこれだ！

「THE WHARTON FOUNDATION SERIES」
http://blog.coursera.org/post/60889088289/the-wharton-foundation-series
講師：ペンシルベニア大学ウォートン校教授・講師陣

THE WHARTON FOUNDATION SERIES

　ペンシルベニア大学ウォートン校は、米国を代表するMBAプログラムの実施校の1つである。MBA分野で最も信頼度が高いBusinessweekの2012年版ランキングによれば、シカゴ大学、ハーバード大学に続く総合3位につけている（※6）。代々、金融分野に強く、特に、リーマンショックに端を発する2008年の金融危機以前には、「ウォールストリートの投資銀行家候補生を輩出するプログラム」として高い人気を誇っていた。

そんなウォートン校が、看板商品である財務や会計を含む4つの講義の一部を、Courseraを利用して無料で提供することを、2013年9月半ばに発表して大きな話題を呼んだ（※7）。それが「THE WHARTON FOUNDATION SERIES」である。

本シリーズでは、金融会計（Financial Accounting、10週）、業務管理（Operation Management、8週）、マーケティング（Marketing、9週）、企業財務（Corporate Finance、6週）の各入門編（1学年めの授業）が無料で提供される。授業内容や、それを受け持つ講師陣もリアルのコースと同じだ。逆に、リアルのクラスの中で、MOOCで使った動画などの教材を予習課題にして、授業ではそれらを見ている前提でディスカッションするというケースも出てきているという。こうしたリアルでMOOCのコンテンツを利用する仕組みを「Flipping」と呼び始めているようだ。

Businessweekは、このシリーズについて、「ウォートン校のMBAに入学すれば、学費その他でおよそ20万ドル（2000万円）の費用を要する。（中略）MOOCでは、学位もOBのネットワークも手に入らないが、それでも同じ内容を無料で学べることには、大変な“お得感”がある」などと評している。

財務・会計は、業種・業務の違いを問わず、「企業活動の共通言語」とも呼べる分野である。それらの数字に置き換えられて初めて、企業活動全体における個々人の仕事の貢献度が示せるとも言える。IT部門の責任者やスタッフにとっても、THE WHARTON FOUNDATION SERIESで学べる一連の知識が必要ないし役に立つ場面は少なくないだろう。具体的には、比較的まとまった額のシステム関連投資に関する減価償却の方法や、事業買収・売却時の評価手法などである。

また、営業担当者であれば、数字から取引先の財務状況をかなり正確に把握できるようにもなるだろう。内容的にハードルが高いことは否めないが、基礎だけでも身に付けられれば、読者が手がける種々の業務にプラスに働くことは間違いがない。