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ITリーダーに贈るMOOCキャンパスガイド(1)―Udacity

2013年10月22日(火)三国 大洋

新時代のオンライン講義プラットフォーム「MOOC(Massive Open Online Course」の存在自体は知っているが、まだ体験したことがないという読者も少なくないだろう。そんな読者に、編集部から背中を押させていただくというのが「ITリーダーに贈るMOOCキャンパスガイド」の趣旨だ。ここでは、3大MOOCプラットフォームの1つである「Udacity」の概要と必聴のオススメ講義を紹介しよう。 (2)Coursera編(3)edX編

Udacity―コンピュータ科学と数学に強い代表的MOOC

[MOOC Platform Profile]Udacity www.udacity.com Udacity

●開設時期:2012年2月
●設立者・運営組織:米スタンフォード大学のセバスティアン・スラン氏らが設立し、後に運営会社ユーダシティを設立
●主な参加大学:米スタンフォード大学、米サンノゼ州立大学、米ジョージア工科大学など

人工知能研究で知られるセバスティアン・スラン氏らが設立

 読者なら、MOOCプラットフォーム「Udacity(ユーダシティ、またはウダシティ)」の設立者であるセバスティアン・スラン(Sebastian Thrun)氏の名前をどこかで聞いたことがあるのではないだろうか。米グーグルが研究開発を進める自動走行車の生みの親、あるいは同社の謎の研究所「Google X」の創設者としても知られる人工知能分野の著名な研究者である(※1)。スラン氏が2011年当時に教鞭を執っていたスタンフォード大学で行ったコンピュータサイエンスのオンライン講義(人工知能入門)が、Udacityの前身だ。この講義には全世界から約16万人が登録していたという。

現在のUdacityを運営するのは、チャールズ・リバーやアンドリーセン・ホロウィッツといったシリコンバレーでも一流どころのベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けたベンチャー企業だ。同社のWebサイトにあるミッションステートメントには、「アクセス可能で、手頃な価格で、夢中になれて、しかも非常に効果的な高等教育を世界の人々に届けること」と書かれており、社会起業(家)的な性格も感じられる。米国籍を持たない不法移民の子弟の教育に長年力を入れているローリーン・パウエル・ジョブズ(Laurene Powell Jobs)氏(故スティーブ・ジョブズ氏の妻)がUdacityのアドバイザーになっていることも関係しているのかもしれない(※2)。

YouTubeのUdacityチャンネルで公開されている「Introduction to Udacity」。同チャンネルに新着のコンテンツが上がると登録者にはメールで通知される。講義ばかりでなく、息抜きの「Coffee Break」も配信されるのが楽しい

 Udacityは、Webサイトからアクセスできる各講座の提供に加え、外部へのMOOCプラットフォームを提供してもいる。例えば、サンノゼ州立大学は、州の予算削減で懐事情が厳しくなり、リアルな講義の代替選択肢を提供する仕組みとしてUdacityを利用し注目を集めた。また、ジョージア工科大学が2013年秋から始めたコンピュータサイエンスの講義では、米AT&Tがスポンサーに付いたほか、MOOCとしては初めて受講修了者に学位(degree)が付与されるといった理由から話題を呼んでいた(※3、4)。ちなみに、ジョージア工科大でのMOOCによる授業の学費は6600(約66万円)ドルで、キャンパスに通学する場合の授業料4万5000ドル(450万円)と比べて破格の安さになっている。

Udacityが提供している講義は、基本的に独自に作成した“自前”のものが多い。そのほとんどがコンピュータ科学分野を対象にしており、「モバイルWeb開発」や「HTML5を使ったゲーム開発」など実践的な講義も含まれる。一部の講義は、グーグルやエヌビディア、マイクロソフト、オートデスクといった米国のITベンダーとのコラボレーションにより作成されている。

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