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もしかすると業務プロセスの新しいトレンド? BPM、BRMS、CEPがセット提供される理由

2014年3月14日(金)田口 潤(IT Leaders編集部)

米レッドハットは2014年3月上旬、ビジネスプロセス管理製品の新版「JBoss BPM Suite 6」をリリースした。ビジネスルール管理と複合イベント処理の機能を含めた“スイート”製品との位置づけだが、なぜこれらの組み合わせなのか──。

何らかの業務プロセスを可視化し、設計(デザイン)し、そしてシステム化するツールは何かと聞かれたら、どう答えるだろうか。CIOなどITリーダーなら、ビジネスプロセス管理(BPM)はすぐ浮かぶだろう。少し考えた後で「ビジネスルール管理(BRMS)」が2番めにくるかも知れない。では3番めはどうか? 正直に言えば、筆者は思い浮かばなかった。

米レッドハットが3月上旬に発表したスィート(統合)製品、「JBoss BPM Suite」の中身を見ると、その答は「複合イベント処理(CEP)だという。「JBoss Business Process Manager」というBPM製品と、BRMSとCEPの機能を有していた「JBoss BRMS」をセットにした“準新製品”だ。

プロセスに関わるツールをセットで提供することは一見、自然だが、考えると必然性に欠けるようにも思える。BPMは受注管理や在庫管理、請求書発行など複数の業務を連携させる用途がメインなのに対し、BRMSはある業務システムのプログラムコードに埋め込まれているルールや規則をコードから分離し、変更しやすくする用途がメインといった違いがある。CEPになると、高速応答が命のクレジットカードの不正利用検知や、センサー処理向けツールのイメージが強い。例外は当然あるにせよ、利用シーンが違うからこそ別々に提供されるケースが多いと言えるだろう。

図 JBoss BPM Suite 6 の構成要素

では、米レッドハットはなぜセットにしたJBoss BPM Suiteをリリースしたのだろうか。理由は2つあるようだ。1つは利用シーンは違ってもBPMとBRMS、CEPのそれぞれの処理は類似点が多いこと。今回、JBoss BPM Suiteが1つのモデラー(処理をグラフィカルに記述したり定義したりする、いわゆるグラフィカル言語)で共通して使えるようにしたことが、それを物語っている。

もう1つは、利用シーンもクロスオーバーする傾向が出てきていること。BPMによる受注受付、在庫引き当て、配送指示、請求書発行指示といった、ビジネスプロセスを想定しよう。例えば在庫引き当ての場合、夕方3時の段階で在庫量が基準より少ない場合には、1個しか引き当てられないようにするといったルール適用(=BPMS)で自動化できる。だからBPMとBRMSをセットにした方がいいというわけだ。

CEPも同様だ。BPMなどと同様、CEPに厳密な定義があるわけではないが、一般には入力に対する処理のルールや分析ロジックを事前に設定しておき、入力があればリアルタイムでデータを処理して応答する仕組みを指す。大量に配置したセンサーの情報をもとに何らかの機器を制御するインメモリーの処理や、短時間に多数の審査をこなすクレジットカードのオーソリゼーションを想定すると、分かりやすいかも知れない。

カードのオーソリゼーションを例にすると、大半の入力は問題なしとしてOKを返す。だから単純な処理で済む。しかし問題がある入力はそうはいかない。それなりに高度なルールを適用して厳密に判断したり、人間がチェックしたりする必要がある。そこでBRMSやBPMと組み合わせるシーンが出てくるという。レッドハット日本法人の責任者は、「米国では大量に入ってくるビッグデータを処理しつつ、何か発見してビジネスプロセスにつなげるような処理形態へのニーズが出てきている。だからSuiteにしたようだ。日本でも早めにリリースしたい」と語る。

そういえば、最近、ホットな領域の1つに「オペレーショナルBI」と呼ばれる業務実行段階におけるBI処理がある。少し前までは、BIと言えば処理が終了した大量の業務データを分析し、何かを見出すことだった。現在では例えば受注の受付段階でBIを実行し、何からの判断をこなすトレンドがある。BPMとBRMS、CEPを統合したJBoss BPM Suiteも、同様にクロスオーバー化の流れにある製品なのかも知れない。

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