著名な日本人技術者を集め、シリコンバレーで起業したことで注目を集めた米トレジャーデータ。ビッグデータの蓄積、分析プラットフォームを商用提供してから2年半が経過した。来日した芳川裕誠CEOに現在のビジネスの状況を聞いた。
―2012年後半に商用サービスを提供開始してから、2年半がたった。最近のビジネスの状況はどうか?
日米欧の大手企業を中心に採用が進んでいる。顧客も多様化してきた。当初は、各地域ともネット系企業が先行していたが、最近は金融や通信、製造などにも浸透しつつある。国内ではNTTドコモや良品計画といった大手企業にも採用いただいた。
トレジャーデータ上に保管されているデータは2014年4月の段階で6兆件を超えた。2年半で約1万倍に増えた計算だ。Webサーバーのログデータだけでなく、自動車の走行記録や、ウェアラブルデバイスの運動履歴など、多様なデータを蓄積し、それぞれの企業のビジネスに活かす試みが進んでいる。トレジャーデータのビジネスは順調に推移していると言えるだろう。
―目下の課題は?
導入実績を重ねる中で、使いやすさの点で改善の余地があると分かってきた。トレジャーデータは汎用的なプラットフォームだけに、ボタン1つで答えが出るわけではない。目的によっては100行のクエリを書かなければならないケースもある。
トレジャーデータの理念は、データ分析にまつわる“摩擦”をできるだけ減らすこと。例えば、データをどうやって収集するか、どう保管するかといった手間を省いて、分析に集中できるようにする。改善の余地はまだまだ残している。
用途を分析したところ、業種ごとにデータの設計やクエリの書き方は似通っていることが分かった。そこで、企業間で共通性の高い処理を関数1つで呼び出せるよう工夫することにした。まずは、ゲームやアドテクノロジー、デジタルマーケティングといった分野で利用頻度の高いものから対応していく予定だ。
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