IDC Japanは2014年7月17日、国内企業のデータセンター投資および運用に関する動向調査結果を発表した。結果は、国内企業によるデータセンター投資が今後も堅調に拡大する傾向を示している。
同調査は、一般企業が所有するデータセンターと、ITサービス事業者や通信サービス事業者などが所有する事業者データセンターの両方を対象に、その投資・運用に関する調査を行ったもの。それによると、今後5年間でデータセンター投資を増加させると回答したのは、一般企業280社中で22.5%、データセンター事業者61社中で36.1%。いずれも減少させるという回答(一般企業で8.9%、データセンター事業者で3.3%)を大きく上回っている。
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また、事業者データセンターにおける今後の取り組み項目として、回答した事業者からは、「データセンター能力の増強(データセンターの新設/増設)」と共に、「データセンターの運用効率化(省エネ対策強化、運用自動化、不要なデータセンターのシャットダウンなど)」が多く挙げられた。IDCはこの点について、「データセンターサービス市場は拡大していると同時に競争が激化しており、データセンター事業者は設備の増強と同時に、運用効率を改善してデータセンターの投資収益率を確保する必要に迫られていることが背景にある」との見解を示している。
IDCによれば、データセンター物理インフラ(土地、建物、電気/空調設備など)に関する商用サービスとしては、これまでは主に土地選定、建築設計、建築施工などといった初期投資局面に関するサービスが多く利用されてきたという。ただし、今回の調査では、データセンターの老朽化やデータセンターサービス市場の競争が激化するにつれて、物理インフラの運用/保守に関する商用サービスの需要が高まりつつあることも判明した。
この分野を担当する、IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、「今後は、建物や電気/空調設備をデータセンター事業者が所有せず、一種のアウトソーシングサービスとして利用するようなサービス形態が市場で求められるようになる」と分析している。
同調査は、IDCの有償レポート「2014年 国内データセンター物理インフラユーザー調査:運用課題と投資動向」(J14320103)でその詳細が報告されている。