サーバ仮想化によって、ユーザは新しい課題に直面している。物理サーバ上で稼働する仮想マシンが増えるにつれ、ストレージがI/Oを捌ききれなくなるケースが出てきたのだ。性能を維持するには多額の投資をしなければならない。こうした中で、世界の先進ユーザが注目するのが「PernixData FVP」である。国内で販売を手がけるネットワールドが2014年8月1日に開催したイベントに合わせて、CTOサティアム・バガーニ氏が来日。卓越した技術と今後の展望について解説した。その模様を紹介しよう。
ストレージインテリジェンスをサーバに移行
SDDC(Software Defined Data Center)を実現する
FVPの進化は止まらない。というのも、バガーニ氏は当初から、単なるストレージ性能の高速化にとどまらない長期ビジョンを持っているからだ。それは、「ストレージのあらゆる機能やサービスをサーバ側に分離・集約する」というものだ。
「ヴイエムウェアを退職した後、次に何をしようかと考えました。他人と同じような課題はやりたくなかった。誰も解決していない問題を解いてこそ、真のエンジニアというものです。色々と考えた結果、“仮想データセンターが抱える課題”、すなわち、ストレージ性能のボトルネックを解決しようと考えたのです」(バガーニ氏)。
昨今、アプリケーションが必要とする機能を、ハードウェアではなくソフトウェアで提供していく仕組みが注目を集めている。SDS(Software Defined Storage)やSDDC(Software Defined Data Center)といったものがそれだ。それらと同様、ストレージも完全にソフトウェアで管理すべき。それが、FVPの目指すところだ。
例えば、既に搭載されている「F2」は「本物のSDSを実現する技術」(バガーニ氏)。PCIeフラッシュやSSDといったメディアの違いを問わず、フラッシュデバイスの特性を最大限に引き出す。サーバ側のフラッシュドライブに耐障害性をもたせる機能も備える。さらに、ミッションクリティカルなシステムの運用もサポートする。
「分散耐障害メモリー(DFTM:Distributed Fault Tolerant Memory)」は、バガーニ氏が“歴史的偉業”と強調する新技術だ。各ホストサーバのRAMをストレージキャッシュとして利用可能にする。FVPの冗長性機能を発展させた。
その他にも、狭帯域ネットワークを有効活用する「適合ネットワーク圧縮アルゴリズム」や、FVPの耐障害性機能を使い、遠隔地のデータセンター間で障害ドメインを適用する「レプリカグループ」など、様々な革新的な技術の開発を進めている。
直近では、次期バージョン「FVP2.0」を間もなくローンチする予定だ。FVP2.0は、NFSプロトコル(NAS)接続を新たにサポートする。すでに、SAN(iSCSI、FC、FCoE)や、JBOD(SATA、SAS)には対応済み。SANのサポートにより、データセンター内のあらゆるストレージに透過的にアクセスできるようになる。
NASの接続に当たって、仮想アプライアンスを導入したり、ネットワークを変更したりといった作業は必要ない。システムの再起動やストレージの設定変更も不要だ。
バガーニ氏は新テクノロジーの実現に懸ける意気込みを「メディア互換、ワークロード非依存、障害対応、ポリシーベースのリソース管理、データセンター設計、自動化といった要素を積極的に組み入れながら、FVPをサーバーサイドのストレージインテリジェンスの中核プラットフォームに発展させていきます」と語った。
ネットワールドのホームページでは、今回紹介したPernixData FVPの製品概要や国内最新導入事例を動画コンテンツで紹介している。また、30日間の無償評価版の申請もできるので、仮想環境におけるストレージ性能に課題を持つ企業の方は、是非試してみてはいかがだろうか?
- ■PernixData案内ページ
- http://www.networld.co.jp/pernixdata/main.htm