サーバ仮想化によって、ユーザは新しい課題に直面している。物理サーバ上で稼働する仮想マシンが増えるにつれ、ストレージがI/Oを捌ききれなくなるケースが出てきたのだ。性能を維持するには多額の投資をしなければならない。こうした中で、世界の先進ユーザが注目するのが「PernixData FVP」である。国内で販売を手がけるネットワールドが2014年8月1日に開催したイベントに合わせて、CTOサティアム・バガーニ氏が来日。卓越した技術と今後の展望について解説した。その模様を紹介しよう。
PernixDataという企業をご存じだろうか。Oracle Exadataの共同出資者プージャン・クーマー氏と、VMwareの分散ファイルシステム「VMFS」を開発したサティアム・バガーニ氏が2012年2月に創業した、カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くスタートアップ企業で、同社は今、グローバルで急速に顧客を獲得している。
フラッグシップ製品「PernixData FVP(以下、FVP)」は、仮想環境におけるストレージ性能のボトルネックを解消するソフト。仮想環境の各ホストサーバが搭載するフラッシュドライブをプール化、キャッシュクラスターを構成する。
サーバとストレージの間にキャッシュクラスターを介在させることで、ストレージ性能のボトルネックを大幅に改善できる。バガーニ氏によれば、VDI(仮想デスクトップ)やSQL Server 、ExchangeといったアプリケーションのI/Oレイテンシーを、ミリ秒からマイクロ秒単位に減らせるという。
FVPの最大の特徴は、既存の資産に手を加える必要がない点だ。導入は、VMwareハイパーバイザー内にカーネルモジュールとしてインストールするだけ。ストレージは既存のものをそのまま利用可能で、アプリケーションに変更を加える必要もない。バガーニ氏は、FVPを「ストレージの容量と性能を分離するソフトウェア」と表現する。
「従来、ストレージの性能を高めようとすれば、高価で高性能なストレージを購入する必要がありました。スケールアップの発想です。FVPの場合、I/O性能はホストサーバの台数に比例します。仮想サーバが増え、キャパシティを増やす必要が出てきたら、ストレージを追加すればよい。性能はFVPが担保するので、高価で高性能なものでなくても構いません」(バガーニ氏)。
FVPを使ったインフラでは、物理ストレージはもっぱら「容量」を提供する。アプリケーションの「性能」に関する問題はすべてサーバ側で解決を図る。シンプルに切り分けられた仮想化データセンターのアーキテクチャーが実現するのである。
FVPは、2013年8月のローンチからわずか8カ月間で、ガートナーやCRNから15のアワードを受賞。ユーザ企業の数はすでに3桁に達した。拠点も米国からオランダ、カナダ、イギリス、デンマーク、ドイツ、インド、オーストラリアへと拡大。日本ではネットワールドとパートナーシップを結んでビジネスを展開している。
「フォーチュン25に入る大企業から、中小企業まで、あるいはプライベートクラウドからサービスプロバイダーまで、業種のセグメントや会社の規模、ワークロードの違いを問わず、FVPは世界で堅調なビジネスを展開しています」(バガーニ氏)。
ネットワールドのホームページでは、今回紹介したPernixData FVPの製品概要や国内最新導入事例を動画コンテンツで紹介している。また、30日間の無償評価版の申請もできるので、仮想環境におけるストレージ性能に課題を持つ企業の方は、是非試してみてはいかがだろうか?
- ■PernixData案内ページ
- http://www.networld.co.jp/pernixdata/main.htm