[インタビュー]

「PasSはアイデアを素早く具現化するための基盤」─米レッドハットのOpenShift責任者

2014年8月18日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

IaaS(Infrastructure as a Service)やSaaS(Software as a Service)といったクラウドサービスの陰で今ひとつ存在感が薄かったPaaS(Platform as a Service)。ここにきて一転、主役に躍り出る可能性が高まってきた。そうした中、米Red Hat日本法人が、プライベートPaaS構築用ソフトの最新版「OpenShift Enterprise 2.1」の国内提供を開始した。OpenShiftの優位点は何なのか。ユーザー企業は同製品をどう捉えれば良いのか。米本社でOpenShiftを担当するChris Morgan氏(製品マネジメントディレクター)とJulio Tapia氏(グローバルディレクター)に聞いた。なお、本稿では両氏の回答を合わせてRed Hatの回答として掲載する。(聞き手は田口潤=IT Leaders編集部)

──パブリックなPaaSとして米国では、Salesforce.comの「Force.com」やMicrosoftの「Microsoft Azure」、AWSの「Elastic Beanstalk」、Googleの「AppEngine」、IBMの「Bluemix」など多数が提供されている。日本発のサイボウズ「Kintone」もある。まず、米国においてPaaSはどんな状況にあるのか。

 米調査会社のIDCによると、米国におけるPaaS市場規模は2013年が38億ドル、2017年には140億ドルになる。米ガートナーの予測も同様だ。いずれも、まだアーリーステージだが、急速に成長すると見られている。

 当社の実感としても、同じことを感じている。優れたシステムを素早く開発し、提供し、改良し続けることは、あらゆる企業や組織にとって重要課題であるからだ。特にIT企業やITが必須の事業をしている企業にとっては生命線である。

 そのため、指摘されたように多数の企業がパブリックなPaaSを提供している。Red Hatとしても、2年前からパブリッククラウドの「OpenShift Online」を提供している。これに対し、プライベートなPaaSとしては、当社の「OpenShift Enterprise」と、米VMware傘下にある米Pivotalの「CloudFoundary」を提供している。

──OpenShift Enterpriseのユーザーには、どんな企業があるのか。

図1:OpenShift Enterpriseの主要ユーザー図1:OpenShift Enterpriseの主要ユーザー
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 BoeingやPayPal、Accenture、CA、連邦政府など多数のユーザーがいる(図1)。Cisco SystemsやDellは、ユーザーであると同時にEnterprise版のパートナー企業でもある。

 国外では伊Telecom Italiaや仏Orangeのような通信事業者、スーパーマーケットの英TESCO、豪Woolworthsがある。社名は公表できないが、金融から航空、通信、教育、天然ガス、ガバメントなどにユーザー層は広がっている。ちなみに、パブリックのOnline版は毎週2500〜3000の新規ユーザーが加わっている。

──PaaSは、素早い変更・修正が求められるWebアプリケーションや、通信量/データ量を見極めにくいアプリケーションなど、パッケージソフトがなく、かつた従来型の開発手段では構築しにくいアプリケーションの開発・運用に最適と考えるが、例えばボーイング(Boeing)のような製造業は何の目的で利用しているのか。

図2:BoeingにおけるInnovation Cell(youtubeの動画から)図2:BoeingにおけるInnovation Cell(youtubeの動画から)
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 同社は官僚的な風土をイノベーティブな風土に変える必要に迫られていた。そのためにはアイデアを素早く具現化できる環境が欲しい(図2)。それに時間やコストがかかるようだと、その間にうやむやにされてしまうからだ。そこにOpenShiftがマッチした。詳細は、2014年3月にボーイングの責任者である企業イノベーション部門のリーダーが講演したビデオがあるので、それを見て欲しい。

──アイデアを素早く具現化ことがPaaSの利点であるということか。

 その通りだ。PaaSの利点は2つある。1つは、Boeingのような取り組みを可能にすることだ。すなわち開発と実行・運用を一体化するDevOps(Devlopment/Operation:開発と運用の一体化)である。OpenShiftのユーザーではないが、オンライン映像配信事業者の米NetFlixもDevOpsを実践することで、毎日200もの変更や機能追加を行っていることを当社のカンファレンスで明らかにしている。

 もう一つの利点であり、最も中核的な価値が、アプリケーションを仮想化する「コンテナ技術」を使えるようにすることだ。ハードウェアの仮想化技術はサーバーやストレージを抽象化し、例えば1台のサーバーで複数のOSを稼働できるようにする。これに対してコンテナ技術は、OSの中でマルチテナントを可能にする。

──コンテナ技術のメリットは何か。

 まず軽量であることだ。仮想化技術では、ハイパーバイザー上で複数のOSが稼働し、それぞれのOSの中でミドルウェアやアプリケーションが稼働する。コンテナ技術は、このハイパーバイザーを必要とせず、OSも1つでいい。

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