ベンダーへの過度な依存や丸投げから脱却し、企業ユーザーが主体的にITを利活用できる態勢を確立する−−。こんな目標を掲げるシステムイニシアティブ協会が8月29日に、同協会としては初の大規模カンファレンスを開催する。本誌も協力する同カンファレンス、読者の皆様には是非、参加をお勧めしたい。
システムイニシアティブ協会が8月29日に開催するのは、「システムイニシアティブ2014」。設立から3年以上を経過した同協会が開催する初の大規模カンファレンスである。
本カンファレンスは、IT利活用に意識の高いユーザー企業のリーダー自らが多数登壇するのが特徴だ。例えば、積水化学工業の情報システムグループ長である寺嶋 一郎 氏。同社は、社員にとって最も使いやすい情報系システムを追求して電子メールやグループウェアを自社開発している。講演では、そのために何を行ったかを中心に、自社開発に必要な組織や人材像を明らかにする。現在進めているパブリッククラウドへのIT基盤移行の狙いやポイントにも言及する。
あるいは、鶴巻温泉にある老舗旅館、陣屋の宮崎 富夫 社長。米Salesforce.comのクラウドサービスの活用事例で知られる陣屋だが、それを率いた宮崎社長が、かつて本田技研工業の技術者だったことはあまり知られていない。その職を投げ打って倒産寸前だった古い温泉旅館を立て直そうとしたのはなぜか、ITを活用した旅館の再生にどんな見通しを持っていたのか、どうやって陣屋を高級旅館に再生できたのか、などを自ら解説する。
また、ふくおかファイナンシャルグループの経営企画部 部長である河崎 幸徳 氏は、「最適なIT投資」をテーマに登壇する。ITを徹底的に利活用して顧客や従業員、経営者など、すべてのステークホルダーに納得してもらえるシステム作りを目指す中で、予算や組織力、案件の優先順位といった制約条件にどうチャレンジしてきたか、今後どう取り組んでいくのかを明らかにする。
ほかにも、東急ハンズや、カブドットコム証券、三菱重工業、富士ゼロックスマニュファクチャリングなどが、ITの利活用を実践する意味や意義、そのために必要な取り組みについて語る予定だ。先に紹介した寺島氏、宮崎氏、河崎氏の3者が登壇するパネルディスカッションも企画されており、筆者もファシリテーターとして参加する。
経営においてITが果たすべき役割が高まる一方のなかで、ユーザー企業が自らが実施したいビジネスのためのIT像を自らが描きだすことの重要性は、従来になく高まっている。本カンファレンスには、そのためのヒントが満載のはずだ。ユーザー企業のITリーダーの方々(もちろんITベンダーの方々も)には、システムイニシアティブ2014の講演詳細を確認していただき、是非参加してほしい。